宮城県気仙沼市階上地区の波路上漁港で、三陸ワカメの収穫作業が本格化している。漁港は東日本大震災で壊滅的な被害を受けたが、復旧が進み加工施設も整いつつある。
23日は、雪の残る漁港から明け方に出漁し、沖合の養殖いかだで約2メートルに育ったワカメを刈り取った。水揚げされたワカメは漁港に並んだ15基のボイル釜で湯通しされ、茶色から一瞬のうちに鮮やかな緑色に変わった。冷たい潮風が吹き付ける中、真っ白な湯気が釜から立ち上がり、塩蔵作業をする漁業者の顔を紅潮させていた。
ことしのワカメは生育が順調で、波路上では震災前の同じ水準の収穫量が期待される。津波で自宅を失い、仮設住宅から夫婦で作業に通う菊田俊明さん(73)は「肉厚で色も良く、ホッとしている。漁ができる喜びを糧に一歩ずつ前に進みたい」と笑顔を見せた。
三陸ワカメの収穫作業は4月まで続く。