漁村の集約化断念 集落ごと高台移転 宮城・女川

 宮城県女川町復興計画策定委員会の第5回会合が10日、町仮設庁舎で開かれ、復興計画の最終答申案をまとめた。津波で壊滅した漁村の再建については、既存の集落近くの高台への移転を強く望む住民に配慮し、集約化の方針を撤回した。
 最終答申案では、これまで掲げてきた「防災」「産業」「住環境」に加え、新たに「保健・医療・福祉」と「人材育成」を復興方針の柱に位置づけた。
 具体的には、「保健・医療・福祉」で、避難所や仮設住宅に住む町民への健康指導や巡回診療の強化を盛り込んだ。「人材育成」では、防災教育の推進などを打ち出した。
 焦点となっていた離半島部にある集落15カ所の移転先に関しては「集約化による新しい居住地の在り方を検討する」との方針を削除。集落ごとに高台移転を進める方向に転換した。
 ただ、予測される世帯数の減少などを踏まえ、「新しい視点でコミュニティーの在り方を検討していく必要がある」との表現は残した。漁港7カ所を重点的に復旧する方針は変えなかった。
 委員会会長の鈴木浩福島大名誉教授は「住民の各漁村に対する愛着や誇りが強く、移転を一気に進めるのはきついと受け止めた」と話した。

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