漁港再編 宮城県が具体的方針

宮城県は、震災で大きな被害を受けた水産業の復興のため、県内142の漁港のうち、4割に当たる60の漁港の復旧を進める一方、残りの82については、復旧する漁港に機能を集約する「漁港再編」の具体的な方針を決めました。漁業者からは、復興のため受け入れざるを得ないという意見の一方で、水揚げなどでは集約先の利用を促すことから、漁業をあきらめる人がでないよう対策を求める声も聞かれました。
東日本大震災で、宮城県では、県内にある142の漁港のすべてが津波の被害を受け、小型漁船の90%に当たる1万2000隻が使えなくなるなど壊滅的な被害を受けました。宮城県では、基幹産業の水産業をいち早く復興させるためとして、漁港の機能を集約して再興を図る「漁港再編」の方針を決め、8日、県漁業協同組合の幹部に説明しました。それによりますと、気仙沼、石巻、塩釜、女川、志津川の5つの漁港を最重要の「水産業集積拠点漁港」と位置づけて、年内に応急的な工事を終わらせ、早急に震災前の機能の回復を図るとしています。また、55の漁港を「沿岸拠点漁港」に指定して、優先的に復旧を進め、平成25年度中に復旧させるとしています。その一方、残りの6割近くに当たる82の漁港については、拠点漁港に機能を集約するとしています。この82の漁港について、宮城県では、漁船を係留するための防波堤などの復旧工事は今後、5年間かけて行うものの、水揚げや加工などは集約先を利用するよう促す方針です。宮城県ではすべての漁港施設を復旧するには、少なくとも4200億円というばく大な費用がかかると試算していて、「選択と集中」で数を絞り込んで重点的に整備することで効率的な復旧を目指すことがねらいだとしています。これに対して、漁業者からは「漁業の復興のためには再編は仕方ない」と方針を受け入れざるを得ないという意見の一方で、「集約されることで漁業をやめる人が出ないか心配だ」と拠点漁港から外れた漁港の漁業者への対策を求める声も聞かれました。一方、岩手県では、111ある漁港のほぼすべての108か所が震災による被害を受けました。岩手県は、基幹産業の漁業の復興が重要だとして、すべての漁港を平成28年度までの6年間で被災前の状態に復旧させる方針です。岩手県は現在、市町村や各地の漁協との間で、どの漁港から復旧工事を始めるか協議しています。また、福島県では、津波によって県内に10ある漁港のすべてが壊滅的な被害を受け、被害総額は合わせて706億円余りに上っています。漁港では、岸壁を応急的に修理する工事が行われていますが、本格的な改修工事を始めるめどはまだ立っていないということです。

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