宮城県内の市町が整備する東日本大震災の被災者向け災害公営住宅の管理業務について、県住宅供給公社への委託を検討する動きが広がっている。整備する21市町のうち、現段階で13市町が検討中。被災自治体は多くの復旧・復興事業を抱え、マンパワーが不足していることが背景にある。
公社は現在、県営住宅を管理している。市町からの受託は業務拡大になるため、既に専門部署を設けているほか、さらなる態勢整備の準備も進めている。
公社によると、管理業務の委託を検討している13市町は東松島市や南三陸町など。ほとんどの市町は業務効率化も目的に、震災前からある公営住宅の管理業務も合わせ、一体的な委託を視野に入れている。
公営住宅の管理業務は、入居者の募集や建物の修繕、家賃の徴収・滞納分の回収と多岐にわたる。復興の途上にある被災市町にとっては負担が大きいのが現実だ。
南三陸町は災害公営と町営の各住宅計約900戸の管理を委託する方向。町建設課は「被災者がプレハブ仮設住宅から災害公営住宅に移るにつれ、仮設の集約作業に人手が必要になる。現在の職員数では管理業務にまで手が回らない」と説明する。
13市町が実際に委託すれば、県内で整備される災害公営住宅1万5000戸のうち、公社は約1万2300戸の管理を担うことになる。さらに同時に委託が検討されている既存の公営住宅は計約6500戸に上る。
公社は既に4月、被災市町の委託の動きに応えようと、管理の受託契約までを担う災害公営住宅室を新設した。入居開始などに伴い受託業務が本格化するとみられる2015年4月には、沿岸部での対応が円滑に進むよう、石巻市内に事務所を置く予定。職員を増やすことも検討する。
県住宅供給公社の千葉宇京理事長は「これまでに培った住宅管理のノウハウを活用し、被災市町を支援したい。入居者のための適切な管理の在り方も考える」と話す。