無人餃子店は、客が店内の冷凍ケースから商品を取り出し、料金箱に現金を入れる無人販売方式が特徴。コロナ禍を背景に、従業員との接触が避けられると人気を集めた。
最大シェアの「餃子の雪松」は2023年2月2日時点で全国で432店舗を展開し、年内中に1000店舗を目指していたが、今年6月時点では374店舗にとどまっており、ピーク時の約10%が閉店に追い込まれている。
情報会社リサーチャーが語る。
「無人餃子店は2020年は130店舗程度でしたが、わずか3年間で10倍の約1300店まで増加しました。背景には、テイクアウトの普及や出店費用の安さ、人手が不要で24時間営業が可能なことがあります。ところがここにきて急速に拡大した店舗が需要を超え、過剰供給状態になっています。さらに無人販売という業務形態が万引きなどの犯罪を呼び、一気にブームが萎んでしまった。今後は価格設定や商品のラインナップの見直しが求められていくでしょう」
多くの無人餃子店では「36個1000円」が基本になっている。これは無人販売ではお釣りを渡すことができないため、お釣りのいらない切りのいい価格にしているから。しかし最近は原材料の高騰などにより、具材の内容量を減らす実質的な「値上げ」をしている店も少なくない。スーパーやコンビニに行けばもっと安価な冷凍餃子はいくらでも手に入る。今後は無人餃子店ではなくてはならない特別感を出さない限り、店舗の減少は止まらないのではないだろうか。
「日本人は勝手に盗ったりしない」という「性善説」から始まった無人餃子店。その前提が大きく崩れてしまった現在、販売スタイルを含めた見直しが必要となってくるだろう。とアサ芸ビズは報じた。