無断キャンセル客の呆れた実態。「行けません」の一言がなぜ言えない?

飲食業界にとって、最大の敵ともいわれる無断キャンセル。被害額は年間2000億円ともいわれる巨大な敵に立ち向かう秘策とは……

◆SNSの登場により無断キャンセル客の被害が明るみに

「助けてください…本日18時半からの団体29名様が連絡ないままキャンセルとなってしまいました…もうコース料理も全部ご用意している状態でこのままだと…お料理のみコース、2000円で飲み放題付き3000円でお立ち寄りいただける方いらっしゃいませんでしょうか…」

「【悲報】本日19時半~の貸切のご予約のお客様が22時を過ぎても誰一人来ない。。。
40名様分のお料理が泣いています。
0時くらいまで片付けながら待っているので、タッパーなり持って引き取りに来てください。勿論お代はいただきません。
心を込めて作った料理や食材様が可哀想。」

「ドタキャン絶対許さない。〇〇小学校の先生、これからこれ全部捨てます。あなた方が軽率な予約をした結果がこれです。人の上に立つ先生がこれは酷いよ。」

 全国各地の飲食店が賑わう週末、ほろ酔いの人々の笑顔とは対照的な悲鳴が、SNS上を駆け抜ける。上のツイートのように、ドタキャン被害に遭った店主の叫びは、もはや日常の光景と言っていい。

◆それでも後を絶たない悪質無断キャンセル客

 大半は「うっかり」とされる無断キャンセル客だが、悪質なケースも少なからずあるようだ。人気イタリアンのシェフ、Aさんに無断キャンセル客の呆れた実態について話を聞いた。

「ウチは無断キャンセルした人は電話番号を登録して、次からはお断りしてます。あるとき、『お断りリスト』の番号から着信があって、コースのメニューを変えてくれと。要するに自分は予約を断られたから、知り合いに予約を取らせていたんだよ。それで、『以前、予約されて来られなかった●●さんですか?』って聞いたら、ガチャ切り。もちろん当日も来なかった」

 墓穴を掘るとはまさにこのことか。嘘をつかれて、延々と待ちぼうけを食らったこともあるという。

「時間になっても来ないから電話したら、『今、向かってます』と。20分たっても、30分たっても来ないから電話したら『タクシー乗りました』と。1時間してもう一度電話したら『道に迷ってる』と。場所を教えてくれたらナビしますって言ったら、電話切られたよ」

 行けませんと一言伝えてくれれば、ほかの客を入れることもできたのだが、その一言が言えない人はいるようだ。

 某有名焼き肉店のオーナー、Bさんはドタキャンを悪用する客に頭を悩ませている。

「お店が狭くて、テーブルも小さい。だから、2人席だとちょっとキツいんだよ。口コミでその噂が広まったみたいで、狭いのを嫌って2人なのに4人で予約して広いテーブルに座ろうとする客がたまにいるんだ。当日、『2人来られなくなっちゃいまして~』ってシレッと言うんだよ。絶対にワザとなんだよな。まぁ、そういう場合は2人席に移動してもらうだけなんだけどね(苦笑)」

 当日、来店時に人数変更を言われるケースも飲食店としては、かなりダメージを受けるという。

「個室は6人以上で基本的にコースを注文してもらう、という店独自のルールがあって予約時に説明もしてるんだけど、当日来たのはラブラブのカップル。個室で2人きりになりたかったんだろうね。でも、こっちは4人分の食材がロスになるから合計6人分のコース料金を請求したら逆ギレ。

 結局、払ってもらったんだけど、帰りがけに『Twitterと食べログに書いてやる!』って捨てゼリフを吐かれたから、どうぞ!って笑顔で返してあげたよ」(人気創作和食店・Cさん)

 悪質な無断キャンセル客たちの傍若無人な振る舞いは、もはや笑いごとではないのだ。

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