新型コロナウイルスによる肺炎が広がる中国・武漢市からチャーター機で帰国した日本人で、これまでに5人の感染が明らかになった。
ただ、1人を除いて発熱やせきなどの症状がなく、専門家は「実際に重い肺炎になる可能性は低いのではないか」と分析している。
厚生労働省などによると、1月29日に到着した第1便で帰国したのは206人。検査の結果、3人の感染が判明したが、うち2人は症状のない「無症状病原体保有者」とされた。210人が利用した30日の第2便でも2人の感染者が見つかったが、いずれも無症状だった。
両便とも1%程度の割合で無症状の感染者がいたことになるが、長谷川秀樹・国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長は「武漢市内からランダムに集めた200人につき2人が無症状の感染者というのは多い」と話す。
その上で、武漢市にはカウントされていない無症状の感染者が多数いる可能性があると指摘。当局が公表する重症例の数などが正確であれば、「肺炎になる患者は少ないと思う」と話した。
一方、1月31日に感染が明らかになった千葉県の女性バスガイドは、奈良県の運転手から感染した疑いが浮上した。女性は武漢市の人との接触は確認されておらず、日本国内で「人から人」への感染が起きた可能性が出ている。
国内での感染の広がりについて、地域医療機能推進機構の尾身茂理事長は「現時点では感染経路が分かっており、誰からうつったのかが分からない状態にまで広がっていない」と指摘。ただ、「水際対策からフェーズが移る可能性を想定し、国は先手を打つべきだ」と訴えた。