熊本から激励の船 120隻失った県漁協矢本支所に届く

 津波で大半の漁船が流失したり、壊れたりした東松島市大曲の県漁協矢本支所(組合員61人)に15日、小型漁船1隻が届いた。ノリ養殖が縁で、30年の交流があった熊本県長洲町の熊本北部漁協が、遊漁船として使っていた漁船を無償で提供した。
 漁船は、全長7.7メートルの「敬徳丸」(1.2トン)。トラックで輸送され、15日朝に同市の大曲浜漁港に到着した。船体には「がんばろう矢本漁協」などと激励のメッセージが寄せ書きしてある。
 皇室に献上する良質なノリを生産する矢本支所。約130隻の漁船が所属していたが、津波で流されるなどして7隻しか残らず、養殖施設は壊滅的な被害を受けた。
 熊本北部漁協理事の津田悦司さん(71)が8月下旬に現地を訪れ、窮状を知って支援を申し出た。漁師60人が5000円ずつを出し合い輸送費を確保した。津田さんは「漁師仲間として何かできればと思った」と語る。
 矢本支所は10月、投資額が少ないワカメ養殖で漁業を再開する予定で、届いた漁船も作業に使う。ノリ養殖は来秋の復活を目指す。三浦正信運営委員長(57)は「本当に感謝している。復興への足掛かりとしていきたい」と話した。

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