熟睡できない人は、ベッドを壁から10cm以上離すべき理由

平成29年「国民健康・栄養調査」によれば、40代の約半数で一日の平均睡眠時間が6時間未満と判明。さらに暑くなり寝苦しくなるこの季節、熟睡でき睡眠の質も上がる方法・グッズを大解明した!

◆温度、湿度、ベッドの位置etc.理想の寝室を徹底解明する

 睡眠環境においてまずチェックしたいのは寝室の温度だ。朝起きたときに寝汗をかいてしまっているとすれば、自律神経が体温調整のために活動していて、脳が休めていない。体温調整をうまくして、睡眠の質を上げるためにもエアコンの使用を推奨したい。

 その際に、温度だけでなく湿度にも注意が必要とは上級睡眠健康指導士の加賀照虎氏。

「夏場は湿度が高いと特に暑苦しく感じるので、部屋の温度は26℃、湿度は50%が最適です。お薦めはエアコンの除湿モード。就寝1時間前からつけっぱなしで稼働させておくことで、日中に建物に蓄積された熱も冷やされ快適に眠ることができます」

 快眠セラピストの三橋美穂氏は、快適な寝床内環境をつくるための6つの要素を挙げる。

「寝床内の快適な温湿度は『温度33℃±1℃、湿度50%±5%』と年間を通じて変わりません。それを部屋の温度、湿度、気流、寝具、着衣量、体質の6つの要素で調整する。例えば、夏場は冷房がしっかり効いた部屋で厚い布団をかけたり、冷房を適度に使いながら寝具と着衣量で調整したり、自分には何がベストか、6つの要素のバランスを見て探ってください。涼しく眠るために、吸放湿性のよい麻わたの敷きパッドを利用するのもお薦めです」

 となると、重要なのが寝具の選び方だ。劣悪な睡眠環境では睡眠の質など上がるはずもない。

「マットレスは寝返りも打ちやすいといわれる高反発・高弾性のものが今はお薦め。低反発で体が沈みすぎるものは、寝姿勢が崩れ、腰痛などの体の不調に繫がってしまいます。また、枕も合ったものを使う。いびきが出る、首が痛い、肩が凝りやすいなどの症状があれば替えたほうがいいです」(加賀氏)

 また、寝具には寿命があることをご存じだろうか。マットレスの寿命は約7~10年、敷布団が約3~5年、枕は素材の違いなどもあるが約3~5年とされており、安価な商品だと寿命はさらに短くなる。最高の快眠を得たいのなら、定期的な買い替えも検討すべきだ。

◆ダブルベッドなどで家族と一緒に寝ている人は要注意

 ベッドの配置にもポイントが。

「ベッドやマットレスは壁から10cm以上離して設置してください。掛け布団がずり落ちにくくなるし、壁とベッドの間に風が通るようになるので梅雨時などに発生しやすいカビも予防できて衛生的。クーラーの冷気が壁に当たって直接体にかかってしまうことも防げます」(三橋氏)

 壁だけでなくドアからも離れた場所に設置するとよいそうだ。

「睡眠時は心理的に無防備な状態なので、頭がドアに近いと不安を感じやすい。頭の位置をドアから離すと安眠しやすいです」(同)

 ちなみに、ダブルベッドなどで家族と一緒に寝ている人は要注意とは、東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身氏。

「奥さんやお子さんと同じベッドや布団で寝ることは、なるべく避けたほうがいい。男女間で体感温度は2、3℃違うので布団のかぶり方も変わってくるし、互いの温度干渉や体動によって眠りが浅くなってしまいます。寝室を分けることが理想ですが、難しければせめて掛け布団は別にしましょう。ちなみに、同じベッドで寝ている夫婦のほうが離婚率は高いというデータもあるんです(笑)」

【加賀照虎氏】
上級睡眠健康指導士。月間1000万PV超の情報サイト「快眠タイムズ」にて、プロの視点から、睡眠・寝具などの情報を発信する。

【三橋美穂氏】
快眠セラピスト、睡眠環境プランナー。全国での講演活動や執筆等で、眠りの大切さや寝具の選び方を提案。最新の著書『眠トレ!』(三笠書房)が発売中

【梶本修身氏】
医学博士。大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講 座特任教授。東京疲労・睡 眠クリニック院長。『ホンマでっか!? TV』『名医のTHE太鼓判』などに出演

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