宮城県塩釜市で製造されるかまぼこを「塩釜かまぼこ」としてブランド化し全国にPRしようと、水産加工業者らでつくるチームが熱々でおいしい串刺しを提供する「塩釜かまぼこ手焼き職人」の養成・認定に乗り出した。東日本大震災で被災し、出荷額が震災前の水準に戻らない名産品の販路拡大や雇用の回復につなげたい考えだ。
チームは産学連携の一般社団法人アグロエンジニアリング協議会(仙台市)を代表に、塩釜蒲鉾連合商工業組合(塩釜市)、塩釜市の酒蔵など9者で構成する。
本年度は塩釜、仙台両市、東京で研修会を計5回開き、試験を経て手焼き職人30人の認定を目指す。かまぼこ製造業者や飲食店関係者らを想定。職人にはイベントや飲食店で、製品のかまぼこに串を通して網で焼き、出来たてのおいしさを再現してもらう。
初の研修会が8月30日に塩釜市魚市場であり、市内外の関係者ら10人が受講した。塩釜神社の神職や大学教授らが塩釜やかまぼこの歴史、原料や製法、おいしさの理由などを講義した。
受講者は笹かまぼこと揚げかまぼこを使い、教わりながらマニュアルに沿い手焼きを実践。「焦げ目は少し付ける感じか」「熱い方が食感が良く、魚本来の香ばしさが出る」などと話した。筆記試験に9人が合格し、認定証やのぼりなどPRグッズを受け取った。
チームは本年度、首都圏などで試食会を4回開き、PRを強化する。仙台市でも10月11、12日に青葉区のサンモール一番町で開かれる伊達美味(うま)マーケットで提供し、市民や観光客らの反応をみる予定。
一連の取り組みは復興庁の本年度の補助事業。来年度は塩釜蒲鉾連合商工業組合が認定制度を引き継ぐ。
チーム代表の鈴木康夫アグロエンジニアリング協議会会長(東北福祉大教授)は「全国トップだった県内の水産練り製品製造者の出荷額は震災後、一時は7位まで下がり、今も低迷は続く。出荷額の5割超を占める塩釜の食や文化も発信し、かまぼこの売り上げ増を図りたい」と意気込む。