父親が高齢であるほど息子はギークになる傾向が強くなることが判明

人の性格を決定づける要因には先天性なものと、生活環境などの後天的な要因が作用していることが知られていますが、新たに発表された研究結果からは父親の年齢が高いほど息子は「ギーク」寄りな人物になるということが浮き彫りになっています。

King’s College London – Older dads have ‘geekier’ sons
http://www.kcl.ac.uk/ioppn/news/records/2017/06-June/Older-dads-have-%27geekier%27-sons.aspx

Older fathers have ‘geekier sons’ – BBC News
http://www.bbc.com/news/health-40340540

ロンドンにあるキングス・カレッジ・ロンドンとニューヨークのマウント・シナイ・アイカーン医科大学Seaver自閉症研究治療センターによる研究チームは、イギリスのTwins Early Development Study(TEDS:双生児の初期発達に関する研究)によって得られたイギリスに住む1万5000人の双子の研究結果から、行動面と認知面におけるデータを取得して分析を行いました。

TEDSの研究では、双子が12歳に達した際に「非言語IQ」や関心のあることに対する強い集中、社会的孤立の度合いなどを調べるという「ギーク的」な内容に関するオンライン調査を実施しています。同時に、両親に対しては双子がそれぞれ相手からどのように受け止められているか、また、関心のあることに対して多くの時間を割く傾向があるかについての調査を行っています。そして研究チームはこれらのデータをもとに、対象となる子供たちの「ギーク指数」を算出しました。

その結果、年齢の高い父親を持つ子どもたちは総じて高いギーク指数を示すことが明らかになっています。この結果は両親の社会的、経済的状況や、技能的状況、雇用環境などを踏まえたうえにおいても同じ内容が得られたとのこと。ちなみに、母親の年齢との関連性は特に認められなかった模様です。

また、これら「ギーク」な子どもたちは、学校で行われる試験で良い結果を残す傾向があることもわかっています。さらに、成長すると、科学・技術・工学・数学のいわゆる「STEM (Science/Technology/Engneering/Mathematics)」の呼ばれる分野で良い成績を残していたことが判明しています。

この結果について、キングス・カレッジ・ロンドンのMagdalena Janecka博士は「年配の父親を持つことによる恩恵が存在していることを示しています。年齢の高い両親を持つことに関してはマイナス面の影響がこれまでにもわかっていましたが、その一方で教育面、職業面において良い見込みがあることも示されています」と語っています。

Janecka博士が述べているように、年配の両親を持つ子どもは自閉症や統合失調症など不利な結果(adverse outcomes)に至るリスクの存在が指摘されてきましたが、今回の研究結果は逆に利点と呼べる効果が現れていることも浮き彫りになっています。

今回の研究では、家族の環境に対する直接的な調査は実施されていませんが、父親の年齢が高いことで、キャリア面でもより高いポジションに位置し、収入が比較的高くなるためにより良い教育を受けることができる、などの要因があるものとみられています。また、両親の年齢の高さと自閉症、統合失調症の症状と「ギーク」な子どもたちが典型的に持つ性格との関係性も暗に示されているとのこと。

まだ仮説の段階ですが、研究チームはギークさと自閉症に関する遺伝子には共通する部分が存在しているとみており、これらの遺伝子は年齢を重ねた父親において出現する傾向にあると考えているとのこと。Janecka博士は「子どもたちがこれらの遺伝子を持って生まれたとき、彼らは学校で良い成績を収める可能性があります。しかし、これらの遺伝子の影響が強くなると、そしてリスク要因に作用するファクターが存在すると、自閉症の発症につながる可能性があります。これは、自閉症に関する遺伝子と高いIQに関する遺伝子は関連しているという近年の研究結果によって支持されるものです」と語っています。

研究チームによる論文は以下のリンクから閲覧することができます。

Translational Psychiatry – Advantageous developmental outcomes of advancing paternal age

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