牛たんサイダー、はじける人気 「味より笑顔」 仙台

仙台市宮城野区の清涼飲料水メーカー「トレボン食品」が、被災地にユーモアを届けようと「仙臺(だい)牛たんサイダー」を商品化した。爽やかな飲料と牛タンの香りをミックスした、あり得ない組み合わせが受け、今月上旬の発売と同時に人気が急上昇。大手量販店から引き合いが相次いでいる。
 口にした瞬間はサイダーだが、牛タン、あるいはテールスープ風の香りが鼻からスッと抜ける。「想像よりも普通のサイダーだと分かり、ホッとして笑顔になるでしょ」。鶴戸満昭社長(58)が自慢げに解説する。
 誕生までは試行錯誤の連続だった。「30通り以上の組み合わせを試し、最終的に焼き肉香料に『隠し味』としてレモン香料を加えて完成させた」と、開発した鈴木英之工場長(49)が打ち明ける。本物の肉の代わりにコラーゲン1000ミリグラムを入れたのも、しゃれの一つだ。
 同社はこれまでも生キャラメル風味のほか、梅酒風味のサイダー「ママの晩酌」など数々の独自商品を生んできた。しかし、今回は禁じ手に近い焼き肉の香り。鶴戸社長も「最初は商品化は絶対無理だと思ったが、工場長の職人魂に打たれ、『時にはユーモアで被災地を元気づけよう』と決めた。味より笑い優先です」と言い切る。
 ラベルにある牛タン店の「のれん」や仙台藩祖・伊達政宗の「三日月のかぶと飾り」、商売の神様「仙台四郎」など仙台をイメージさせる図柄も、鈴木さんが描いた。「話の種になれば上出来。仙台名物になれば、なおうれしい」と鈴木さんは期待を寄せる。
 340ミリリットル入り。オープン価格で1本200円前後。酒販チェーン「やまや」(仙台市)や大手小売り「イオン」などで全国販売されている。

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