牛丼・吉野家が国会進出 議事堂敷地内で秋に営業開始

庶民的なイメージの牛丼チェーンの「吉野家」が、赤じゅうたんの国会議事堂に進出する。衆議院議院運営委員会理事会が、吉野家ホールディングス(HD)による国会議事堂の敷地内への出店を認めた。
国会議員の事務所がある議員会館にはセブン‐イレブン・ジャパンやタリーズコーヒージャパンが店を構えるが、国会議事堂の敷地内で大手チェーンが営業するのは初めて、という。
国会参観者は「利用できると思います」
吉野家が出店するのは国会議事堂裏の衆議院側で、国会参観者向けの土産物店や蕎麦屋が並ぶ一角。1970年から営業を続けてきた軽食堂を改修して、2013年秋から営業をはじめる。
吉野家HDによると、「認可されたことは事実ですが、営業時間やメニューなどの詳細はこれからになります」という。ふだんは国会議員や議院職員、メディアなどが利用することになるが、「土産物店の並びですし、おそらく国会参観者であれば利用できると思います」(吉野家HD)と話している。
衆議院では5年ごとに店舗を公募しており、吉野家は3月に実施した公募に応募した。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉をめぐり、一部からは「米国産牛肉を扱うチェーン店はいかがなものか」との意見もあった、とされる。
吉野家は5月7日に、国土交通省が入る霞が関中央庁舎3号館の食堂内にも出店している。吉野家にとって、官公庁や市役所など公的施設への出店は初めてで、メニューや価格は通常店舗と同じ「並盛280円」で提供している。
しかし入館証が必要になるなど、職員は利用できるものの、「なかなか一般の方が利用できるスペースではないので、店舗数には数えていませんし、ホームページにも載せていません」という。
吉野家は牛丼用牛肉のほぼ全量を米国産に頼っているが、米国産牛肉は2月に輸入規制が緩和され、輸入対象の月齢が「20か月以下」から「30か月以下」に広がった。飼育期間が長いため、従来の牛肉より脂身が多くなり品質も高まるとともに、調達量の拡大や価格の下落を見込んで4月18日から、牛丼の価格を100円値下げして並盛280円にした。
アベノミクスの「デフレ脱却」には反するが、庶民にはうれしい「うまい、安い、早い」の「復活」で、出店計画も、2014年2月期の国内出店数を13年2月期の約2倍にあたる50店舗に増やす。

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