物流特需が復興下支え 仙台圏で大型施設続々

仙台圏で大型物流施設の開設が相次いでいる。高速道と港にアクセスしやすい利便性の高さがあらためて見直され、特区による優遇措置も追い風になってい る。ネット通販が拡大するなど物流拠点の需要の高まりを背景に、仙台圏では今後も建設ラッシュが続く見込みだ。(報道部・山口達也)

<特区も後押しに>
仙台市泉区の泉パークタウン工業団地で10月27日、2社の大型施設の完成式典が重なった。
一つは米系不動産会社プロロジス(東京)が整備した食品専用倉庫がある施設(延べ床面積約2万8000平方メートル)。もう一つは食品卸売業の国分(東京)の施設(約3万9600平方メートル)だ。
同団地に進出した最大の理由は立地条件。プロロジスの担当者は「交通アクセスに優れ、東北6県をカバーする物流拠点として最適だ」と語った。
2社に先立つ10月19日、宮城野区の仙台港近郊に施設(約3万4200平方メートル)を完成させた総合物流大手のセンコー(大阪市)もアクセスの良さが 立地の決め手。田中正志東北主幹支店長は「港が近くにあることで船舶が使え、東北6県だけでなく北米や東南アジアにも対応できる」と話す。
東日本大震災後に認定された復興特区による優遇措置も3社を後押しした。
宮城県や仙台市などが申請し、2012年に認定された民間投資促進特区に基づき、3社は、法人税の減額や固定資産税の5年間免除といった優遇が受けられる。センコーはさらに、施設を災害時の緊急避難所として活用することを条件に、国の利子補給制度の適用を受けた。

<「雇用面で貢献」>
物流業界ではいま、全国的に営業所の集約化が進んでいるほか、ネット通販の普及に伴い、消費地に近い物流拠点の重要性が増している。拠点を増やし、安全確保のためにドライバーの長距離運転を抑制する狙いもある。仙台圏はこうした条件を満たす上に、復興需要が見込まれる。
復興特区の特例措置の対象外だが、大和ハウス工業(大阪市)は今月末、仙台港近くの、仙台市と多賀城市にまたがる土地に、複数の業者がテナントとして活用 する東北最大級のマルチテナント型施設(約6万6000平方メートル)の整備に着手する。担当者は「仙台圏は震災で物流施設が被災した。もともとニーズが ある」と説明。岩沼市など3カ所でも新たな施設の建設を計画している。
このほかにも複数の会社が仙台圏への物流拠点整備を計画する。市企業立地課の担当者は「震災後の工場立地が伸びない中、大型物流施設の整備が活発になっている現状はありがたい。雇用面でも貢献できるので、この流れを歓迎したい」と期待を込める。

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