プラスチック成型のプラモール精工(宮城県富谷町)が樹脂の射出成型時に使う特殊部品の販売を強化する。不良品やトラブルの原因となる気体を効果的に抜く機能を持つ2種類を開発し、ガスや空気を通すことから「ガストース」「エアトース」と名付けた。1月に愛知県であったトヨタ自動車グループ向けの展示会で、2種類とも商談が成立し、取引拡大への弾みとなった。
ガストースは成型した樹脂部品を金型から押し出すピン状の部品で、2010年4月に発売した。金型の一部に組み込んで使う。従来品を改良し、ピン状の先端部に微細加工で溝を作り、空気を逃がすようにした。
12年8月発売のエアトースも、金型に組み込んで使うブロック状の部品。樹脂を射出する時に空気を逃がす隙間を、1000分の5ミリ単位でダイヤル調節できる。金型を削ることで隙間を作っていた作業を不要にした。
プラスチック成型では、金型に高圧注入される高温の樹脂からガスが発生するが、外に逃がさないと、樹脂の充填(じゅうてん)不足や変形、発火などトラブルの原因になる。2種類の特殊部品は気体を逃がすことで、より低圧での成型を可能にし、樹脂部品の安定生産につながるという。
プラモール成型はコネクターなどの精密電子部品と、金型そのものも製造している。今回の特殊部品は不良品発生を抑える生産設備改善の延長で開発された。
ガストースは昨年、宮城県内の優れた工業製品に贈られる「みやぎMONO」に認定され、エアトースもことし認定製品となった。
東北各県の企業がトヨタグループ向けに製品や技術を売り込んだ展示会では、開催から1週間以内の商談成立はプラモールの2種類だけだった。
同社の脇山昌幸営業部長は「いずれも試行錯誤を繰り返し生みだした製品」と説明。脇山高志社長は「電子機器から自動車まで、プラスチック成型の生産性と品質の向上に幅広く貢献したい」と意欲を示す。