特産イチゴの生産団地が完成 宮城・亘理、山元

宮城県亘理、山元両町がそれぞれ整備したイチゴ団地が完成し、東日本大震災の被災農家への引き渡しが3日、始まった。今月中旬にも定植を始め、高値で取引されるクリスマスシーズンの出荷を目指す。
 亘理町いちご団地は町内3カ所に計68.5ヘクタールを造成して整備した。大型栽培ハウスや夜冷施設などを設け、イチゴや野菜農家104戸に無償で貸し出す。今月末には選果場も完成予定だ。
 山元町の団地は町内4カ所にある。来年から栽培を始める農家を除く36戸に20~50アールの大型栽培ハウスなどを貸与する。
 総事業費は亘理町が約112億円、山元町は75億2000万円。国の復興交付金を活用した。
 亘理町で最大の浜吉田団地では3日、59戸が栽培施設の鍵などを受け取った。早速、内部を視察し、腰の高さで苗を栽培できる高設ベンチ、水道水や培養液の自動散布装置など最新鋭の施設を確かめた。
 渡辺繁俊さん(58)は約20アールのハウスで栽培する。町沿岸部で40年ほど営農を続けた約31アールのハウスは自宅とともに流失した。土木作業のアルバイトで生活しながら団地の完成を待った。「至れり尽くせりの施設で栽培できてうれしい。おいしいイチゴを作って全国の方に恩返ししたい」と喜ぶ。
 東北最大のイチゴ産地を誇った亘理、山元両町は、震災の津波で農家380戸(96ヘクタール)の95%が壊滅した。
 亘理町いちご団地管理組合の森栄吉組合長は「復興へ大きな一歩。高品質の実を収穫できるよう組合員一同、全力を挙げて取り組む」と誓う。

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