犬200頭保護に1億円超 民間シェルターの支えは「ふるさと納税」

下世話な話で恐縮だが、「殺処分ゼロ」を目指すピースワンコ・ジャパンのシェルター運営には、それなりの費用がかかっている。

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2014年度の年間支出は約1億1450万円。内訳は、200頭近くいる保護犬のフード代や医療費などに約1800万円、健康管理やしつけを担当する獣医 師やトレーナーの人件費に2500万円、保護施設の建設に3700万円といった具合だ。質の高い飼育環境を維持しながら、1頭でも多くの犬を保護するに は、安定した資金の確保が欠かせない。

現在その柱になっているのが「ふるさと納税」である。ふるさと納税は、応援したい自治体に寄付をすると、2000円を除いた全額が税金から控除される制 度。所得に応じた上限はあるが、ほぼ自己負担なしで寄付ができるうえに、地域産品などをお礼の品としてもらえることが人気を集めている。広島県神石高原町 が昨年、寄付金の使途としてNPOや地元自治会を指定できる仕組みを設けてくれたので、私たちも「あなたの『税金』を殺処分ゼロのために」と呼びかけて寄 付を募っている。

今年も9月の動物愛護週間を皮切りに、ふるさと納税のポータルサイト「ふるさとチョイス」でキャンペーンを始めた (http://www.furusato-tax.jp/gcf/48)。掲げたのは、私たちが広島県の犬の殺処分をなくす目標と定めた来年6月まで に、保護犬舎を3倍の600頭規模にし、譲渡センターも新たに開設する計画だ。

これまでの取り組みの成果や資金の使途を詳しく説明し、お礼の品には有機無農薬の米をはじめとする地域の特産品を用意した。開始から3週間余りで、同サ イト経由の寄付申込額は約2250万円。それ以外のルートを含めると約3200万円に達した。昨年のペースを上回り、寄付が集中する年末を迎える前として は、たいへん大きな支持をいただいている。

寄付者のみなさんからは、「ふるさと納税で活動資金を集めるアイデアはすばらしい。年金生活なので少額しかできませんが、毎年参加したい」「(殺処分ゼ ロの)本格的なプロジェクトが立ち上がり、実績も積み上がっていて、心から嬉しく思います」などのコメントが数多く寄せられている。特に目立つのは、「神 石高原町の取り組みが全国に広がることを願っている」というものだ。小さな町の挑戦にこれだけ注目と期待が集まるのは、かつてないことだろう。

今回のキャンペーンでは、他の保護団体との連携による猫の保護にも初めて協力を呼びかけた。ペットを愛し、共生を願う多くの人の共感を得られるよう、きちんと成果を出していきたい。
(「ピースウインズ・ジャパン」代表理事・大西健丞)

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