先週、海開きをしたばかりの神奈川県の海水浴場に、猛毒を持つ「カツオノエボシ」が大量に漂着し、専門家が注意を呼び掛けています。
■専門家「毒針で死亡例もあり」
1日に海開きをした神奈川県の一部の海水浴場。翌日は天候にも恵まれ、多くの海水浴客でにぎわっていましたが…。
子ども:「あそこ!」
母親:「近付かないで!」
ライフセーバー:「毒あるので、気を付けて下さい!」
ライフセーバーの女性が注意を呼び掛けたのは、海に浮かぶ青く透き通った生物。糸のような触手に毒針を持つ、カツオノエボシです。
その危険性について、専門家は、次のように話します。
新江ノ島水族館クラゲ担当・櫻井徹さん:「毒針ですので、(刺されると)はれてしまったりですね。もちろん、死亡例もあります」
■ライフセーバー「絶対触らないで」
猛毒を持つカツオノエボシ。最近、江の島の海岸で大量発生しています。
ビーチの清掃活動を行っている諏訪部和雄さんに話を聞きました。
出羽商会・諏訪部和雄さん:「先週あたりまで、(毎日)大体40匹くらいは絶えずいましたね」
砂浜に漂着した大量のカツオノエボシの処分に追われたといいます。実際、取材をしていたこの日も、波打ち際でカツオノエボシを発見しました。
子どもたちから、わずか1メートルほど。手が届きそうな距離です。よく見ると、毒針が海中を漂っているのが分かります。
個体によっては毒針が50センチ近くあるため、近付くのは危険です。
ライフセーバー:「(子どもたちに向けて)毒あるので、気を付けて下さい。絶対触らないようにしてね」
ライフセーバーが周りの砂で囲い込むようにして、丁寧に処理。幸い、けが人はいませんでした。
■子ども「ぷにぷにしたゼリー」
海水浴客のすぐ近くに迫る危険。この日、番組が確認しただけでも、30匹近くのカツオノエボシが打ち上げられていました。
これから家族連れでにぎわう、江の島の海水浴場。子どもが、その見た目に引き付けられないよう、注意が必要です。
子ども:「(Q.何だと思った?)ぷにぷにしたゼリー。きれいだった」
母親:「ぷかぷか浮いて、プラスチックのおもちゃって感じ、本当に」
海水浴客:「子どもはたぶん『きれいだ』って言って、触りたがるかもしれない」「触っちゃいますよね、知らなかったら」
新江ノ島水族館クラゲ担当・櫻井徹さん:「“青い風船”みたいなのがあると、すごいきれいだなと思って、触りたくなってしまうと思うんですけど。その周辺に刺胞(毒針)なんかがちぎれてて、その周辺もちょっと気を付けて頂いて」
■南風吹き…沖合から海岸に?
普段は沖合に生息しているというカツオノエボシ。一体、なぜ江の島の海岸に漂着しているのでしょうか?
新江ノ島水族館クラゲ担当・櫻井徹さん:「太平洋の外洋とか、沖合の方で浮いてるような感じで。主に南風が強く吹くと、外洋から流されてくる」
海開きを控えた先週、南風が吹いたため、沖合から海岸に運ばれてきた可能性があるというのです。
新江ノ島水族館クラゲ担当・櫻井徹さん:「早い時期ですと、ゴールデンウィークぐらいから、浜に打ち上がってたりするんです。今年は遅いし、数少ないねなんて言ってたんですけども」 出羽商会・諏訪部和雄さん:「死んでいても、毒が強いということで。近付いても触らないっていうことを、呼び掛けていきたい」