猫感染症 初の死者 ウルセランス菌 福岡県の60代女性

犬や猫などからうつる「コリネバクテリウム・ウルセランス感染症」にかかった福岡県の60代女性が2016年5月に死亡していたことが15日、分かった。症例を公表している01年以降、同感染症で死亡が確認されたのは初めて。

厚生労働省は、都道府県や日本医師会、日本獣医師会に注意を呼び掛ける通知をした。

厚労省によると、女性は呼吸困難で救急搬送され、3日目に死亡した。搬送前の数日間、発熱など風邪に似た症状を訴えていたという。女性からはウルセランス菌が検出された。この女性は長期にわたって日常的に屋外で猫3匹に餌をやるなど「濃厚接触」していたという。猫のうち1匹からも同じ菌が検出されたため、厚労省は猫との接触で感染したとみている。

国立感染症研究所によると、国内では01年2月に千葉県で感染例が初めて報告され、これまで25例の報告がある。

九州では05年に猫12匹を飼育していた大分県の50代男性が感染した。人から人への感染例は、国内で報告はなく、多くは犬や猫からの感染とみられる。

初期症状は、せきやくしゃみなどで、重症化すると呼吸困難で死亡する恐れがあるという。感染症「ジフテリア」のワクチンに防御効果があり、早めに抗菌薬で治療すれば、重症化は防げるとしている。

厚労省は「猫や犬に触った後に手洗いをすれば感染は防げる。犬や猫にせきやくしゃみ、鼻水などの症状があった場合は、過度な接触を避け、医師の診察を受けてほしい」と呼び掛けている。

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