玄米食新品種「金のいぶき」作付け拡大へ

コメ卸、加工業の高清水食糧(栗原市)は新年度、県古川農業試験場(大崎市)が開発した玄米食用品種「金のいぶき」の産地化に乗り出す。胚芽が大きく、ふっくらもっちりした食感が持ち味。県内の農家と連携し、生産拡大に取り組む。
同社の尾西洋次社長が19日、県庁で村井嘉浩知事に新品種の魅力や新年度の事業計画を説明。炊きたての玄米を試食した村井知事は「食べやすくおいしい」と感想を述べ、「付加価値の高いコメづくりにつなげてほしい」と期待感を示した。
「金のいぶき」は県古川農試が2002年に人工交配して育成し、13年に品種登録を申請。当初はコメ油原料などの活用を見込んでいたが、玄米食として味わいの良さに高い評価が寄せられた。
ひとめぼれに比べ、アミノ酸や食物繊維などの機能性成分を多く含む胚芽が約3倍あり、家庭用炊飯器で炊くことが可能だ。冷害に強く、倒伏しにくいなど栽培特性にも優れている。
県内では13年産から名取市などで作付けが開始され、14年産の面積は約10ヘクタール。新年度は約80ヘクタールに拡充し、種子の増産も進める。同社は4月、約12億円を掛けて栗原市などに低温倉庫や無菌包装工場を建設し、15年産米の収穫期に合わせて稼働を目指す。
既に大手の食品メーカーや健康食品会社が「金のいぶき」を使った商品を販売している。健康志向の消費者を中心に人気を集め、供給が需要に追いつかない状態という。
尾西社長は「おいしい玄米食へのニーズは、かなり高い。米価が低迷する中、宮城の新たなブランド米として育てていきたい」と話している。

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