玉虫色に輝く顔料の紅作りに挑んだ仙台三高(仙台市宮城野区)自然科学部化学班の5人が、「文化部のインターハイ」と呼ばれる本年度の全国高校総合文化祭で自然科学部門の一つ、化学部門で最優秀賞に輝いた。5人は「失敗も多かったが最高の結果でうれしい」と同部初の快挙を喜ぶ。
自然科学部門は7月31日~8月2日、和歌山県紀の川市などであり、化学部門には全国42校が出場。2年生の安部莉陽人(りひと)さん(17)と高橋颯一(そういち)さん(17)が代表で発表した。
5人は、上質な紅花から得られる純度の高い紅が、乾くと光沢のある緑色「玉虫色」になることに着目。高級品として江戸時代から玉虫色の紅を手掛ける東京の老舗化粧品店の製法を参考に、昨年6月から再現実験を行った。
紅花の色素の99%は黄色色素で、赤色色素はわずか1%。5人は、紅花の色素が溶けた水溶液を、赤色色素を吸着するセルロースパウダーで20回近くこして黄色色素と分離。赤色色素を指でもむと結晶化が促される手法で、玉虫色を再現した。
安部さんは「黄色色素を取り除いてから次の過程にたどり着くまで、半年かかった」と苦労を振り返る。
審査後の講評では、玉虫色の紅で着色した鳥の切り絵作品を作ったことも評価された。顧問の菅原佑介教諭は「実験で試行錯誤を重ねた。高校生らしい努力が評価された」とたたえた。
同部は自然科学部門の計3部門に出場し、細菌に感染するウイルス「バクテリオファージ」を研究した班が生物部門の優秀賞、ミミズの地上移動を研究した班がポスター発表部門で奨励賞を受賞した。