王者・日テレの苦境 長寿番組の視聴率低迷、ドラマも不作…

昨年まで5年連続で視聴率3冠王を続けている日本テレビに黄信号が灯り始めている。日曜20時台で20%超えもあった『世界の果てまでイッテQ!』がテレビ朝日系の『ポツンと一軒家』に抜かれ、比例するように前後の『ザ!鉄腕!DASH!!』や『行列のできる法律相談所』の数字も落ちている。下落は日曜だけに留まらず、他の曜日のゴールデン帯でも1ケタの番組が増え出している。テレビ局関係者が話す。

「かつて15%前後獲っていた土曜の『世界一受けたい授業』も最近は10%強の回が多い。同じく長寿番組である火曜の『火曜サプライズ』、木曜の『ぐるぐるナインティナイン』、土曜の『志村どうぶつ園』は最近、1ケタを記録した回もありました。4月改編でゴールデン帯唯一の新番組『衝撃のアノ人に会ってみた』は7%前後が多く、未だに1度も2ケタに届いたことがありません」(以下同)

 盤石の地位を築いていた日テレがなぜ、数字を落としているのだろうか。

「どんな名番組には寿命があって、何年も放送していると時代に合わなくなったり、ネタが尽きたりしてくる。でも、テレビ界全体が視聴率を落としている中では、新番組を始めるよりも知名度のある現状の番組名で、アレンジしていくほうが無難なんです。日テレはそれが上手かった。ただ、『ぐるぐるナインティナイン』は25年、『志村どうぶつ園』は15年、『世界一受けたい授業』は14年半、『火曜サプライズ』は10年とさすがに長寿番組になり過ぎたキライはあります。

 そのような局のマンネリを救うのが、3か月に1回変わるドラマなんです。しかし、日テレはドラマの大ヒット作をここ数年、生んでいない。テレ朝の『科捜研の女』や『相棒』のようなヒットシリーズもなく、毎クール出たとこ勝負の印象になっている。2015年4月には日曜22時30分からの1時間をドラマ枠にするなど改革を図り、革新的な作品も出ていました。しかし、今クールの『あなたの番です』も初回から1ケタが続いています。水曜22時『白衣の戦士』、土曜22時『俺のスカート、どこ行った?』も1話は10%台でしたが、2話以降は1ケタです。帯番組も『ZIP!』や『ヒルナンデス』が同時間帯の視聴率争いで3位になることもあり、徐々に下がっています」

 最も痛かったのは『イッテQ』の“ヤラセ”報道だという。

「キャストの内村光良や出川哲朗、みやぞんなど好感度の高い芸人が出演している番組だけに、余計にギャップが大きかった。彼らがヤラセに加担しているわけではないにせよ、家族で見るコンテンツですからイメージは良くなかった。

 日テレは、過去にも不祥事をキッカケに数字を落としたことがありました。1994年から10年連続で視聴率3冠王に輝いていましたが、2004年から2010年まではフジテレビにその座を明け渡した。これは2003年秋に起こった視聴率買収事件(*)も影響したかもしれません。視聴者はテレビの不祥事に敏感です。去年の秋以降、『イッテQ』だけでなく日テレ全体の数字が下がっていることとヤラセ報道は無関係とは言えないでしょう」

【*視聴率買収事件:2003年、日本テレビのプロデューサーが探偵を使ってビデオリサーチのモニター世帯を割り出し、金銭を渡して自社の番組視聴を依頼していたことが発覚した】

 日テレの数字は落ちてきているが、他局に大きく差を付けられた番組があるかといえば、そうでもない。その証拠に、6月10~16日の週の視聴率3冠王は日テレだった(全日はテレ朝と同率首位)。2週連続の3冠獲得だった。

「他局の大ヒット番組は、テレ朝の『ポツンと一軒家』くらい。6月10日からの週の日テレは11日火曜、12日水曜の19時台が1ケタだったが、他の民放も足並みを揃えるように1ケタに終わった。他局は今こそ、日テレを追い抜くチャンスなのですが、似たような番組や長時間特番ばかり作っていると、ますますテレビ離れが進むのではないでしょうか」

 他局はチャンスをどう生かし、日テレはピンチをどう乗り切るか。

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