超音速旅客機が、そう遠くない時期に日本の空にお目見えすることになりそうだ。
日本航空(JAL)が2017年12月5日、超音速旅客機の開発を進めている米ベンチャーのブーム・テクノロジー社と資本業務提携したと発表。2020年代半ば以降の就航を目指す。巡航速度はこれまでの航空機の2倍以上で、中長距離路線の所要時間が大幅に短縮されそうだ。
所要時間の短縮で付加価値をつける
かつては「コンコルド」が世界最速の翼だとされ、JALは1965年に3機仮発注したが、騒音問題などが原因で後にキャンセルしたという経緯がある。ブリティッシュ・エアウェイズやエールフランスが運航を続けてきたが、燃費の悪さなどを理由に全機が2003年に退役。デモフライトやチャーター機として日本の空港に飛来したことはあったが、外国航空会社を含めてコンコルドが日本の定期路線に就航することはなかった。
今回の資本業務提携では、JALがブーム社に1000万ドル(約11億円)を出資し、20機分の優先発注権を得る。JALは
「現在の航空機とは異なる『超音速機』による運航を目指すことで、お客さまへ従来とは全く違う『時間』を提供できる未来を創造すべく、協業してまいります」
としており、所要時間の短縮で付加価値をつけたい考えだ。
JALの発表やブーム社のウェブサイトによると、開発中の超音速旅客機の巡航速度はマッハ2.2(時速2335キロ)。コンコルドはマッハ2、現在の航空機の速度はマッハ0.85だ。単純計算すれば所要時間は半分未満に短縮されることになり、ブーム社は7時間かかるニューヨーク-ロンドン間が3時間15分に短縮されると説明している。
米西海岸、モスクワまでは飛べそう
コンコルドが退役する原因になった燃費の悪さも「画期的な空気力学的なデザインや最新式のエンジン」などで改善したと説明。運賃もコンコルドより75%安く、今の飛行機のビジネスクラスの水準にできるとしている。
ビジネスクラス仕様の45~55席を備え、航続距離は8334キロ。東京からサンフランシスコ(5130マイル=8260キロ)まではかろうじて航続距離内だが、ヘルシンキ(5229マイル=8415キロ)は厳しそうだ。モスクワ(4664マイル=7500キロ)、米西海岸、東南アジア、オーストラリア、インド路線などで活躍しそうだ。18年末までに最初の試験飛行を目指す。