「改正貸金業法」が18日に全面施行され、個人の借り入れ総額を年収の3分の1までに制限するなどの規制が導入された。これにより今後、消費者金融などの貸金業者から借り入れができなくなる人が増加するため、そうした人をターゲットにした不正な“貸金業”を営む ECサイトが増える可能性があるという。
ECサイトの構築・運営支援や決済代行サービスを展開している株式会社Eストアーによると、こうしたECサイトでは、顧客にクレジットカード決済で買い物をさせた上で、実際には品物を発送せず、キャンセル代というかたちで顧客に現金を“返金”する。あるいは、品物の販売額に対して異常に高い率で“キャッシュバック”を行うところもある。いずれも、品物の“購入”代金は後日クレジットカード会社へ支払うかたちとなるため、顧客にとっては実質的に現金を借り入れたかたちとなる。
このように、クレジットカードのショッピング枠で購入した商品などを何らかの手段で現金に換える行為は「クレジットカード現金化」と呼ばれ、リアル店舗ではすでに以前から広まっていたという。
独立行政法人国民生活センターが4月7日付で発表したところによると、近年、クレジットカード現金化に関するトラブルで相談が増加しており、2009年度(2010年3月26日現在)は207件と、前年の約1.7倍に上った。また、クレジットカード現金化は、クレジットカード契約に違反する行為で、クレジットカード業界でも禁止していることを説明。法的責任を問われる恐れがあること、現金化業者のもうけ分が差し引かれるため、カード支払い額に比べて手にできる現金が少ないこと、そもそも送金されない詐欺的ケースもあることなど、リスクのある行為であり、絶対に利用しないよう注意を呼び掛けていた。
Eストアーでは今のところ、クレジットカード現金化を行っているECサイトの具体的な件数や増減傾向までは把握していない。しかし、クレジットカード現金化が目的で開設されたであろう、店舗の実態がないとしか思えないECサイトがすでに存在することが、クレジットカード会社との情報交換などから見えてきたという。まだ顕在化していないものの、今回の改正法の影響で今後増えてくることは明らかだとし、ECサイト業界が連携してこうした不正行為を締め出していくことが必要と訴えている。