「肌の老化を止めるために必要なのは『美肌菌』」と解説するのは、便秘外来でも有名な小林メディカルクリニック院長の小林暁子先生。
彼女の著書『医者が教える最高の美肌術』には、自宅で簡単にきるケアがいっぱい。著者自身がまさにエイジレスな美貌の持ち主とあっては、読まずにはいられません。
◆腸内フローラが、肌の調子を左右していた!
便秘が肌荒れの原因になる、というのは皆さんも聞いたことがあるでしょう。便秘が続くと吹き出物が出る……といった形で実感している人もいるのでは。本書によると「腸内フローラに棲む菌が、ベストなバランスに保たれていると、肌の老化が抑えられる」。ということは、逆もまた然りですよね。昨今、万年便秘症の女性が増えていますが、便秘が老化の原因を担っているなんて、今すぐトイレに駆け込みたくなります。
さらに皮膚にも「肌フローラと呼ばれる、肌の健康を左右する細菌たちがいる」という研究報告があるのです。「腸内フローラ」と「肌フローラ」、このふたつの『美肌菌』を味方につけるには、どうしたらいいのでしょうか。
◆細胞がコゲつく「糖化」。防げないの!?
ストレス解消に甘いものが欠かせない、という人も多いのでは? ところが本書は「甘いものをとり過ぎると、細胞がコゲていく」と警告。コゲていく、なんてまるでホラーのようですよね。
「糖質(ごはんやパン、麺類などの主食や小麦粉製品、お菓子や甘味料、フルーツなど)を多く摂取し過ぎて、体内で使いきれずに余ると、血液中の糖(血中グルコース)が体内のたんぱく質に絡みつき、AGE(糖化最終生成物)という老化原因物質を生成してしまう」。これが医学に基づいた糖化の仕組みらしいのです。
じゃあ明日から甘いものナシ!? なんて悲観するのはまだ早い。甘いものを食べても“なかったこと”にする秘訣があるのだそうです(以下、本書より抜粋)。
☆ベジファーストを意識する
野菜(サラダ、副菜、汁物など)→たんぱく質→炭水化物の順番で食べる。
☆AGEの多い食品を避けて、抗高糖化食品を食べる
高AGE食品の代表格は、揚げ物、バーベキュー、焼肉、ベーコン、フライドポテトなど。なるべく避けるか、抗糖化食品であるお酢やレモン汁、オリーブオイルなどを取り入れる。
☆白いごはんは冷まして食べる
白いごはんは、冷ますと食物繊維と同じ働きをするレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)という成分が増加。食物繊維量の多い食事をとれば、血糖値上昇が抑えられる。
◆便秘解消につながるプチ断食
私もかなりの便秘症なので、今まであらゆる策を講じてきました。しかし、効果はイマイチ。そんな私でもまだ試していなかったのが、ファスティング(断食)。本書でも「便秘がひどかったり、腸の調子をすっきりさせたいときは、ファスティングに挑戦してみるのもひとつの方法」と提案。初心者向けの3日間プチ断食メニューがこちらです(本書より抜粋)。
朝食 …… バナナとヨーグルト(どれだけ食べてもかまいません)
昼食 …… サラダのみ
夕食 …… かつおぶしをかけたおかゆ
これを3日間続けるだけで、腸内がデトックスされるそうです。断食なのにこんなに食べていいの? というのが私の第一印象。これなら週末にチャレンジできそうですね。
続いて、本書が薦める具体的なスキンケア術もご紹介しましょう。
◆ぬるま湯だけで洗顔、仕上げに「まつげをキュッ」
洗顔についてもあらゆる情報が錯綜していますが、本書が薦めるのは「ぬるま湯だけ洗顔術」。さらに「洗顔が終わったら、最後に指先で、まつげをキュッと上げる」というもの。この洗顔方法は著者の祖母直伝で、「まつげが上向きになる」「まつげがフサフサでビューラーいらず」というお墨付き。
「なんだかおまじないのようですが」との注釈付きですが、医学的根拠を加えるならば「まつげや目に気を配る瞬間、無意識のうちに目元に存在している眼輪筋(がんりんきん)という筋肉に力が入ります。これが習慣になると、おのずと眼輪筋は鍛えられ、血流も良くなり、栄養が届きやすくなる」というわけです。
「クレンジングが、丁寧にしっかりできていれば、その後はぬるま湯で洗顔するだけでも大丈夫」と本書。かく言う私も、洗顔よりもクレンジングに重点を置くようになり、肌が変わったひとり。低刺激のクレンジング剤を指定量より多く使い、肌への刺激を最低限に留めてマッサージしています。ちなみに本書では「ベースメイク用のクレンジング剤は、クリームタイプか乳液タイプ」を推奨。必要な皮脂を落とし過ぎることがなく、肌への負担も少ないそうです。
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医者が書いた美容本と聞くと、最新のエステやサプリなど、お金をかけるイメージがありました。一読して、そんな自分を恥じております。本書は、きれいになりたいがために頭でっかちになってしまった私達を、医師の知識と実績を持って軌道修正してくれているのです。
「一生懸命にお手入れをしても効果が出ないのは、努力の方法が間違っているということ」という、最後に記された著者のメッセージを胸に、お金ではなく心を尽くして、お手入れに励もうと思いました。