仙台港と仙台空港では9月、製造業や運送業など県内外計50社91人が参加する視察セミナーがあった。仙台港では貨物を積んだトラックごと輸送できる「RORO(ローロー)船」を見学し、仙台空港では国際貨物棟に足を運んだ。
講師役を務めた日本通運仙台支店(仙台市宮城野区)はタイへの輸出を例に挙げ、仙台港からの出荷は東京港より約10%経費が削減できる試算を紹介。仙台空港の利点は「成田空港との併用で輸出日数を短縮できる」と説明した。
参加した養鶏業の栗駒ポートリー(栗原市)は鶏卵を仙台港から香港に輸出している。担当者は仙台港のアクセスの良さに触れ、「輸出拡大にも耐え得る」と語った。
セミナーは県や仙台市、仙台商工会議所でつくる「仙台国際貿易港整備利用促進協議会」と「仙台空港国際化利用促進協議会」が主催し、2022年度に始まった。今回で3回目だ。
県によると、仙台港の23年のコンテナ取扱量は23万8000個(20フィートコンテナ換算)。19年の29万個をピークに減少傾向にある。仙台空港の23年度貨物取扱量は1252トンで、コロナ禍前の水準(19年5043トン)に戻っていない。
物流業界はトラック運転手の残業時間規制により、荷物の流通量の減少が懸念される「2024年問題」や、環境負荷を減らすため輸送手段を自動車から船舶などに切り替える「モーダルシフト」への対策に迫られている。
県港湾課の担当者は「飛行機と船が運搬する貨物タイプをそれぞれ理解してもらい、より多くの企業に活用してもらおうと考えている。物流に関する課題の解決につながってほしい」と話した。