過酷な環境の宇宙で微生物が数年間生存できることを、東京薬科大などの研究チームが国際宇宙ステーション(ISS)での実験で突き止めた。欧州の学術誌に論文が26日、掲載された。生命は宇宙空間を移動するとの仮説を支持する成果で、数年生きていれば火星と地球間の移動も可能という。
放射線に強い特殊な細菌を容器に入れてISSに運び、宇宙空間に3年間さらした結果、有害な紫外線を浴びても全体の数%が生き残った。生存率などの分析から、紫外線を浴びた状態で2~8年、浴びなければ数十年は宇宙で生存できることが分かった。
生命は宇宙空間を移動するという100年以上前に提唱された「パンスペルミア仮説」を検証した。地球の生命がどこで生まれたかは未解明で、火星から飛来した可能性も指摘される。地球に接近しているときの火星で大気中の微生物が雷雲の影響で加速し、宇宙に飛び出すと、数年で地球に到着可能という。
チームの山岸明彦・東京薬科大名誉教授は「生命は火星から飛来した可能性が高まった。今後は強い放射線を浴びる月周回基地でも実験したい」と話す。