生成AIの偽情報対策、デジタル発信者情報など新技術の活用をG7に提言へ

 先進7か国(G7)が生成AI(人工知能)の規制のあり方などについて議論する「広島AIプロセス」を巡り、日本政府がまとめた提言の骨子案が判明した。生成AIの普及で巧妙化する偽情報への対策として、新たなデジタル技術「オリジネーター・プロファイル(OP)」の有効性を盛り込んだ。

 複数の政府関係者が明らかにした。政府は4日に開催する有識者会議「AI戦略会議」(座長・松尾豊東大教授)で示す。

 骨子案では、生成AIによって「容易に精巧な偽情報を作成することが可能」との危機感を示し、拡散される偽情報が今後増える懸念があるとした。

 偽情報対策について、「新たな技術による対応は、100%ではないが、有効である」と指摘。その具体例として、OP技術の活用に言及した。OP技術に加え、「AIによる生成物か否かを判別する技術」の開発も念頭に、先導的なプロジェクトに取り組む必要性を訴えた。経済協力開発機構(OECD)や、各国政府や機関による協議体「AIに関するグローバル・パートナーシップ(GPAI)」との連携強化も呼びかけた。

 著作権をはじめとする知的財産権については、「権利保護と利活用促進のバランスが重要」とした。権利侵害の防止策としては、AIの学習データの出典管理など「技術的解決策の活用」などを示した。政府は、年末までにG7として方向性を打ち出せるよう調整を進める。

 企業に対しては、AIの運用に関する「ガバナンスポリシー」の策定を促した。AIの提供企業などが、顧客や従業員によるAIの不適切な使用を防止したり、不適切な使用の有無をモニタリング(監視)したりする計画などを想定している。中小・零細企業に過度な負担とならないよう、一定規模以上の企業や、公共性の高い病院などの事業者を対象とする方向だ。

 日本は今年、G7議長国を務めている。岸田首相は、今秋にも予定されるテレビ会議形式のG7首脳級会合などを通じ、政府の見解を示して賛同を呼びかけたい考えだ。

 ◆オリジネーター・プロファイル(OP)=ネット上で発信された文章などに対し、第三者機関が認証した発信者情報を電子的に付与し、ネット利用者が信頼性を確認できるようにする技術。SNSなどにシェア(共有)された先でもOPによる発信者情報を確認することができる。

タイトルとURLをコピーしました