生成AI開発や著作権に「世界原則」…知的財産保護や透明性確保要求、日本新聞協会も賛同

世界新聞・ニュース発行者協会(WAN―IFRA)など世界の報道・メディア26団体は6日、生成AI(人工知能)の開発や著作権などに関する「世界AI原則」を定め、公表した。生成AIは社会の利益になる可能性がある一方、民主主義のリスクにもなるとし、知的財産の保護や透明性の確保などを求めた。 【写真】日赤が生成AIで作成した関東大震災「新証言」。「捏造」と批判を浴びた

 原則ではまず、AI技術は、社会全体に多大な利益を与えうる一方で、クリエイティブ産業の持続可能性や、ジャーナリズムや科学などに対する信頼、民主主義の健全性にリスクをもたらすと警告した。知的財産の見境のない流用は非倫理的で有害であり、保護された権利の侵害だと訴えた。

 その上で、生成AIの開発や規制に適用されるべき考え方について、知的財産や透明性など計12項目を挙げた。AIシステムの開発者らに対し、知的財産権を尊重しなければならないと強調。明示的な許可がないのに、AIにコンテンツ(情報の内容)を学習させるべきではないと指摘した。

 さらに、透明性を確保するため、AI開発にどのコンテンツを利用したか、法的根拠を含めて詳細に記録し、権利者側が、この情報を利用できるようにする仕組み作りが不可欠だと主張した。

 また、AIが生成したコンテンツに誤りがないよう保証するために最善の努力をするべきだと要求。AIシステムの設計や学習、利用における個人データの収集と使用は合法的に行い、システムが偏見を強めたり、差別を助長したりしてはならないと強調した。

 日本新聞協会によると、WAN―IFRAは、世界120か国、1万8000媒体の発行者などが活動に参加。日本新聞協会も加盟し、世界AI原則に賛同している。

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