東北の産地直売所(産直)の店舗数は2010年、1853カ所に達し、05年に比べ3割増加したことが、農林水産省の農林業センサス(速報値)で分かった。農家の販売ルートの多様化や、食の安全・安心志向の高まりが背景にあるとみられる。
各県の産直の数は表の通り。調査対象の産直は、店舗を設けて対面販売する施設で、無人販売や移動販売は含まない。実数では福島、山形、宮城、岩手、秋田、青森の順。伸び率は青森と山形が高かった。
東北農政局によると、実数で多い福島、山形は果樹栽培が盛んな地域で、果物を季節ごとに販売する産直が多く、総数を押し上げたらしい。
運営主体別に見ると、生産者グループや生産者個人、企業など民間が1573カ所で84.9%を占めた。ほかは農協208カ所(11.2%)、第三セクター57カ所(3.1%)、自治体15カ所(0.8%)だった。
各県の産直が増えた理由について、東北農政局は「販路拡大で所得を確保しようという農家が増えたためではないか」と指摘。生産者の顔の見える産直が、消費者の食品に安全を求める傾向と合致したとみている。
調査は今年1~2月、東北の各市町村を通じて実施。05年の前回調査より、調査対象となる農業集落は広がった。