Q 先日、世界の男女平等度の順位で日本は146カ国中118位だというニュースを見たよ。
A スイスのシンクタンク、世界経済フォーラムの「男女格差(ジェンダー・ギャップ)報告」2024年版の結果ですね。経済、教育、健康、政治の4分野で男女間の格差を分析したデータで、日本の順位は低迷し、先進7カ国(G7)では昨年に続き最下位でした。ジェンダーは「社会的、文化的につくられた性差」という意味です。
Q 日本の順位が低いのはどうして?
A 女性の議員や管理職が少なく、政治が113位、経済が120位と特に低いためです。「政治は男性がするもの」「男性は仕事、女性は家庭」といった考え方が根強いことが背景の一つと言われます。
Q 格差が大きいと、どんな問題が起きるの。
A 例えば議会に女性が少ないと、政策はほぼ男性だけで決められ、男性が気付きにくい大事な問題が見落とされる恐れがあります。介護や育児の担い手の多くが女性です。少子高齢化が進む東北では特に、多様な視点が不可欠です。
東日本大震災後、避難所に女性のリーダーがおらず、女性たちが着替え場所の確保などに困った事例が目立ちました。企業でも、多様な人材が意思決定に参画できなければ、社会の変化やニーズに応えられないでしょう。女性の管理職の少なさや、非正規雇用の多さなどを背景に男女の賃金格差も生じています。
Q 賃金の格差は生活に関わる問題だね。
A 政府による「女性の活躍推進企業データベース」の昨年12月20日時点のデータを基に、河北新報が東北6県の587社を調べた結果、女性の賃金が男性の70%台以下の企業が全体の7割強を占めました。出産や育児を機に退職した女性が非正規雇用となる傾向が見られます。フルタイムの仕事と育児との両立が難しい現状は、母子世帯の経済的困窮にも影響しています。
Q どうすれば男女格差を小さくできるかな。
A 性別役割の押し付けや無意識の偏見がないか、さまざまな場面で見直すことが必要です。海外では議席の一定数を女性に割り当て、効果を上げた国もあります。次代を担う子どもたちへの教育も重要です。6月23~29日は「男女共同参画週間」。自分の身の回りから点検してみましょう。
(せんだい情報部・菊池春子)