男性更年期セルフチェック!

女性だけでなく男性にも更年期があると言われるようになったのは2000年代に入って間もない頃。その後、「男性更年期障害」という言葉はかなり浸透した。しかし症状が表れているにもかかわらず、自覚できていない男性も多いのではないだろうか。

男性更年期専門外来を展開する「Dクリニック東京 メンズ」と「Dクリニック大阪 メンズ」(医療法人社団ウェルエイジング)が先月、全国の20〜50代の男性500人に実施した「働き方改革と健康に関するアンケート」調査では、男性更年期障害の疑いがある人(中等度・重度の男性更年期障害の可能性がある人)の割合が約40%にのぼったという。

男性更年期障害とは、加齢に伴う男性ホルモン(テストステロン)の低下によって引き起こされるLOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)という病気だ。

LOH症候群をセルフチェックできるAMSスコア

LOH症候群は早いと40代で発症するが、多いのは50〜60代。集中力が続かない、体がだるい、やる気がしない、運動していないのに関節や筋肉が痛い、のぼせや動悸がするなどの不調の原因は、LOH症候群かもしれない。この年代の男性は、加齢によるテストステロンの減少に加え、職場や家庭でのストレスも多い。体の不調だけでなく心の不調を訴える人も少なくない。

不調はあるが自分の症状がLOH症候群かどうかわからないという人には、手軽なセルフチェック方法がある。国際的に用いられている「Aging Males’ Symptoms Score(AMSスコア)」という質問票だ。

AMSスコア(Aging Males’ Symptoms Score)

AMSスコアでは17の症状に対し、「なし」=1点、「軽い症状がある」=2点、「中くらい」=3点、「重い」=4点、「非常に重い」=5点の5段階で回答し、最後に合計点を出す。26点以下は正常、27〜36点は軽度、37〜49点は中等度で、50点以上は重度のため治療が必要とされる。

更年期を迎えた男性の場合、ホルモン低下は避けることのできない体の変化だ。体調不良を感じる中高年男性は、男性更年期障害の可能性も疑いAMSスコアでセルフチェックをしてみよう。

AMSスコア
(1)総合的に調子が思わしくない
  (健康状態、本人自身の感じ方)
(2)関節や筋肉の痛み
  (腰痛、関節痛、手足の痛み、背中の痛み)
(3)ひどい発汗
  (思いがけず突然汗が出る、
   緊張や運動と関係なくほてる)
(4)睡眠の悩み
  (寝つきが悪い、ぐっすり眠れない、
   寝起きが早く疲れがとれない、
   浅い睡眠、眠れない)
(5)よく眠くなる、しばしば疲れを感じる
(6)いらいらする
  (当り散らす、些細なことにすぐ腹を立てる、
   不機嫌になる)
(7)神経質になった
  (緊張しやすい、精神的に落ち着かない、
   じっとしていられない)
(8)不安感
  (パニック状態になる)
(9)身体の疲労や行動力の減退
  (全般的な行動力の低下、活動の減少、
   余暇活動に興味がない、達成感がない、
   自分をせかさないと何もしない)
(10)筋力の低下
(11)憂うつな気分
  (落ち込み、悲しみ、涙もろい、
   意欲がわかない、気分のむら、無用感)
(12)”人生の山は通り過ぎた”と感じる
(13)力尽きた、どん底にいると感じる
(14)ひげの伸びが遅くなった
(15)性的能力の衰え
(16)早期勃起(朝立ち)の回数の減少
(17)性欲の低下
  (セックスが楽しくない、性交の欲求が起こらない)

「働き方改革と健康に関するアンケート」調査から見える実態は…

冒頭で紹介したDクリニック東京メンズとDクリニック大阪メンズの調査では、働き方改革で「残業時間が減った」と感じる回答者が73%を超えたにもかかわらず、「働きやすくなったと感じない」という回答や「仕事で感じるストレスが増えた」という回答は約半数にのぼったという。

「働き方改革と健康に関するアンケート」結果概要
●「働き方改革」では労働時間の是正や有休休暇取得が推進され、残業時間も減っている。
・どのような働き方改革がされていますか?(複数回答可)に対しては「労働時間の是正」「有給休暇取得の促進」がどちらも60%超。
・働き方改革以降で残業時間は「どちらかというと減った」「とても減った」が合わせて73%。
●しかし、30代が多くのストレスを感じている実態に。
・働き方改革により働きやすくなったと「感じていない」方は53%超。
・働き改革以降、仕事で感じるストレスが「どちらかというと増えた」「とても増えた」が50%という結果に。
・労働時間に関して感じるストレス第一位は「ノー残業デーの翌日、そのしわ寄せがくる」が36.4%。この回答のうち、30代の回答者数が最多。
・業務量に関して感じるストレス第一位は「残業ができないのに業務量が変わらない」が46.4%。中でも30代が最多。

また、AMSスコアを用いた調査では、男性更年期障害の疑いがある回答者が約41%(中等度・重度の男性更年期障害の可能性がある人)にのぼったという。

同クリニックの男性更年期専門外来担当医で順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科の辻村晃教授は、今回の調査結果に対しこのように語っている。

今や男性更年期障害も広く知られてきています。平均患者年齢は50代でしたが、現代ならではの社会問題に由来したストレスが増えており、今回の調査では30代もリスクが高いことが判明いたしました。
男性更年期障害の原因である『テストステロンの低下』を防ぐには、筋トレや質のいい睡眠、「まごわやさしい」を合言葉にしたバランスの良い食事です(まめ類、ごま、わかめ、野菜、魚、しいたけ、いも)。また、幸福感が高いと男性ホルモンが増加することもわかっていますので、女性とデートやパートナーから褒められたりするのも効果的です。
「調子が悪いかな?」と感じたり、パートナーの方から見て症状が見られたりしたら、AMSスコアのチェックや男性更年期外来のドアをたたいてみてください。
健康的な勤続や、いい夫婦としてあり続ける秘訣かもしれません。

老いを実感することの少ない30代からテストステロンを意識して、食事や運動などの生活習慣を見直すことも必要かもしれない。

「働き方改革と健康に関するアンケート」調査
調査主体:Dクリニック東京メンズ・Dクリニック大阪メンズ
調査対象:20代〜50代の全国の働く男性500名(一般社員250名、役職者250名)
調査期間:2019年10月18日〜20日
調査方法:インターネットリサーチ

医師・専門家が監修「Aging Style」

タイトルとURLをコピーしました