新型コロナの交付金を使ったとして、この春全世界で話題になったのが、石川県能登町が設置した巨大なイカのオブジェ『イカキング』です。 設置から半年、経済効果は出ているのか、現状を取材しました。 大きな目玉にリアルな足の吸盤。インパクト抜群の巨大なイカのオブジェ、「イカキング」です。 能登町小木地区にあるイカの駅「つくモール」に今年春に設置され、今や地域のシンボルとなりました。 (リポート) 「子どもたちが我先にとイカの中に入っていきます」 イカキングは高さ4メートル、幅13メートルで楽しみ方は人それぞれ。一緒に写真を撮影する人や、足ににぶら下がる子どもも…。しかしこのイカキング、当初は賛否両論がありました。理由はその財源です。 能登町は国から分配された新型コロナ対策の交付金のうち2500万円をこのモニュメントにつぎ込んだのです。今年4月の時点では、こんな声が聞こえました。 <観光客> 「コロナのためになんでイカつくれんて。一時的なものだったら国の財産がイカがなものかと思う」 能登町小木はスルメイカ漁が盛んな「イカの町」として知られています。その観光振興を目的とした交付金の使い道として、町は国に説明済みでしたがこの話題がSNSを中心に拡散。 国内だけでなく、海外のメディアも報じ、ツイッターの新型コロナ関連のトップページにも掲載されました。設置から半年が経ち、最近になってイカキングを訪れた人の反応は様々です。 能美市から訪れた夫婦: 「すごくいいPRになったと思います。石川県のアピールになった」 県内の人からは好感触のようですが、県外から訪れた大学生は…。 東京から来た大学生: 「私たちはたまたま見つけることができたが、これ(イカキング)があるから観光客が来るというのは難しいのでは」 「ある意味『問題の施設』として知名度があがるのでは。逆に能登半島のイメージは下げちゃうかも」 そんなイカキングの周りには外国人の姿も。 アメリカ出身の教員: 「初めて来ました。すっごい面白い」 アメリカ出身のこちらの男性は、イカキング設置までの経緯が気になると言います。 男性: 「どうやって(設置が)決まったのか。会議とかどういう話で決まったのか」 そこでイカキング設置までの経緯を知る1人を直撃しました。能登町議会の堂前利昭議員。昨年度、町が議会に提案したイカキングの設置案に賛成しました。 堂前議員: 「13対0で可決。みなさん賛成だった。小木に訪れる人が1人でも多ければいいと思って賛成しました」 出席者全員が賛成したイカキング設置ですが、堂前議員はその経済効果の検証は必要だといいます。 堂前議員: 「今感染者は減少しているので12月議会で聞いてもいいかと思うし、3月議会など1年ごとにやってくとかこれからずっと大事なことだと思う」 では、町はイカキング効果をどう捉えているのでしょうか。 町の担当者: 「(具体的な経済効果の分析は)今のところ行っていないが、これからどんどん行っていきたい」 イカキング設置はイカの駅への誘客促進の目的がありましたが、長引くコロナ禍の影響で客足が伸び悩んでいるのが現状です。 一方で、イカキングによる町の宣伝効果は絶大だったといいます。 町の担当者: 「多くのマスコミに取り上げられ、国内外で話題になった。町職員レベルで独自で試算したところ宣伝効果は2500万円という額をはるかに上回っている」 設置から1年経たずに交付金の2500万円は回収したと言い切る担当者。新型コロナの感染が収束傾向にある中、イカキングの真価が問われるのはそう遠くなイカもしれません。