宮城県加美町のゴルフ場「やくらいゴルフ倶楽部」の土地などが太陽光発電事業者側に転売された問題で、石山敬貴町長は28日、町役場で記者会見し、町が所有権返還を求めて提訴する方針を正式に表明した。同日、町議会臨時会で提訴に向けた関連議案が可決された。
町が訴えるのは、ゴルフ場運営会社のチームトレイン(加美町)と、現地で大規模太陽光発電所(メガソーラー)を計画するカナディアン・ソーラー(本社カナダ)の子会社で東京に本社を置く2社。30日までに仙台地裁に提訴する。
石山町長は、トレイン社が町にゴルフ場の存続を伝える一方で、カナディアン社側にはメガソーラー設置までの緻密な道程を示した契約書を交わしていたことを問題視。「偽りの言葉で(町議会が)議決をさせられたので、法的措置を取ることにした」と語った。
刑事告訴については「警察に必用な書類を提出して捜査をお願いしている」と説明した。
トレイン社は2021年4月、ゴルフ場の土地・建物を9500万円で町から買い戻し、同じ日にカナディアン社側に4億円で転売した。町は、トレイン社が買い戻す際のゴルフ場を存続させるという説明は事実に基づかず、カナディアン社側も買い戻しの経緯を知りながら、メガソーラー用地として土地・建物を取得したと主張、売買契約の取消を求めている。
カナディアン社側は「当方の主張については裁判を通じて明らかにしていく」とコメントした。