異例の「広瀬すず」vs.「土屋太鳳」 代理店の代理戦争になったソフトバンクCM

年明けから流れるソフトバンクのCMに、目を丸くした方も多いのではないか。例のお父さん犬が登場する「白戸家」シリーズではなく、いま最も旬な女優、広瀬すず(20)と土屋太鳳(23)が出ているヤツだ。1社が2種類のCMを同時期に流しているわけだが、なぜ、こんな状況に?

【写真】美スタイル際立つ「ヨガウエア姿」の土屋太鳳

 それぞれのテーマは、「しばられるな」と「ギガ国物語」。前者は1月1日からで、広瀬がガラスに体当たりし、壁を激しくパンチするなどアクションが盛りだくさん。後者は1月11日から。土屋が冒険映画のように仲間と放浪する旅人の設定である。

 たとえばクルマの会社のCMならば、車種によって別のバージョンが同時に流されることはあるが、広告代理店関係者によると、

「正確には、広瀬さんの“しばられるな”は、企業のイメージに関するブランド広告。一方の土屋さんのほうはキャンペーンの広告です。キャンペーン広告は、たとえば、料金プランなどの情報を伝え、短期的に契約者を増やそうとするものですね」

どちらのCMがお好み?

 広告の分類と伝達する情報が異なるわけだが、

「土屋さんの“ギガ国”はキャンペーン広告でありながらシリーズ物のような作りとなっています。世界観やストーリーがあり、継続的な放送を見越して作られているのでブランド広告にも見えます。キャンペーン広告でブランディングを行うCMはあまり見たことがありません。そうした意味では、二つのブランド広告が同時に流されているわけで、珍しいですよ」

牙城を崩したが

 この珍しさが広告業界で話題なのは当然としても、

「この2本それぞれが別の代理店による制作なのも、気になるんですよ」

 と、別の広告代理店の関係者が語る。

「広瀬バージョンは電通、土屋バージョンは博報堂の担当なんです。ソフトバンクのCMは長年、電通が担当してきました。ですが、昨年末に行われたコンペで、博報堂が勝ったのです」

 電通側はこの十数年、電通OBである佐々木宏氏が「白戸家」シリーズを手がけてきた。ちなみに佐々木氏は、東京パラリンピックの開閉会式の企画演出も担当する。

「佐々木さんが抜けたかどうかは分かりませんけれども、電通の牙城を崩した博報堂はかなり沸きました。ところが、コンペで決着したのに、あとから電通もCMを制作することとなった。“敗れた電通側が佐々木さんを頼ったんじゃないか”と囁かれたものです。佐々木さんなら、孫正義さんに直接意見できるだろうから、と。それで孫さんが、“どちらがいいかは国民に決めてもらおう”と言ったなんて噂も出ましたね」(同)

 コトの真相を“電博”双方に訊ねたが回答を得られず。なので、佐々木氏に訊ねると、「私は一切、コンペに関わっていませんよ」と笑い飛ばしつつ、

「1年以上、孫さんに会っていないし、日ごろ電話やメールをする間柄でもありません。博報堂が勝ったあと、なんらかの形で電通が一矢報いて作ることになったとは聞きましたけど」

 旬の女優が相搏(あいう)つCMには、こんな“代理戦争”の側面もあったのだ。

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