登米市、オランダ風車修復へ 震災で破損、DC前完了急ぐ

 登米市は、東日本大震災で部品が壊れ、羽根が回らなくなった同市迫町のオランダ風車を2012年度中に修復することを決めた。事業費は約5500万円。市観光のシンボルとされる施設で、材料などはオランダから調達する。開会中の市議会9月定例会では多額な工事費をいぶかる声が上がったが、関連予算は認められた。
 市によると、風車は震災で歯車や回転軸など内部の複数部品が壊れ、羽根が回らなくなった。ほとんどがオランダ製の部品で国内では調達できず、オランダから取り寄せる。工事中はオランダ人技師2人を40日間、現地に滞在させ、部品の組み立てなど一部の施工管理を任せる予定だ。
 事業費は当初見込んだ約2000万円の倍以上に膨らんだ。市商工観光課は「技師の人件費や滞在費、部品の輸送代などで経費がかさんだ」と説明する。事業費には国の震災復興特別交付税を充てる方針で、実質的に市の負担はないという。
 事業費を盛り込んだ12年度一般会計補正予算案は20日の市議会で可決された。予算案の質疑は風車の修復に集中し、複数の市議が「多額の事業費を費やし、修理する必要があるのか」「回らない風車でもいいのではないか」などと疑問を投げ掛けた。
 風車は観光ポスターなどを飾る市の代表的な観光施設。風車がある長沼フートピア公園には、10年の実績で年間約31万人が訪れた。震災に見舞われた11年の観光客は14万人に激減。13年4~6月に予定される仙台・宮城デスティネーションキャンペーン(DC)も、市に早期修復を迫る一因になった。
 市の真山誠喜経済産業部長は「シンボルである風車が回らないままでは、市のイメージダウンになってしまう。早く震災前の状態に戻し、DCに備えたい」と話した。
<オランダ風車>物産館やキャンプ場などがある登米市迫町の長沼フートピア公園の一角に立つ。高さ約21メートル、直径約24メートルの4枚羽根を備える。合併前の旧迫町が1991年、約2億円を掛けて建設し、登米市が管理する。風速2メートル以上で羽根が回る仕組み。震災前は日中に羽根を回していた。

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