白石温麺各社の有志が勉強会設立 「短いそうめん」イメージ刷新の好機に

白石市特産の白石温麺(うーめん)を作る地元の製麺各社有志が勉強会を先月立ち上げた。400年の歴史を持ちながら、県内でも知名度がいまひとつなご当地麺。組織の垣根を越え、イメージを刷新できるどうかに注目が集まる。

 名前の由来は病気の親のために体に優しい食べ物を用意した子の孝行話。「温」は温情を表す。油を使わず、麺の長さが9センチと短いのもすする力の弱い子どもやお年寄りへの配慮とか。それなのに、世間の受け止めは「温かいつゆのそうめん」「短いそうめん」にとどまっている。

 「ビールの全国キャンペーンで温麺が景品に採用された時は『ハーフそうめん』の名前で出荷した」「東京のデパートは辛うじて片隅に並べる程度。売り込みに行ったら『温麺は1種類あればいい』と言われた」。温麺あるあるを笑って話す関係者の声はどこかもの悲しい。

 秋田の稲庭うどんのルーツとの説もあり、味は良い。3束100円の商品はお値段なりの味だが、最高級の手延べは贈答にもOK。パスタっぽいアレンジでサラダやナポリタンだっていける。そう、素材のポテンシャルは十分。それなのに、それなのに…。

 ぱっとしない理由の一つはPR不足だろう。地元5社は50年近く不仲といい、業界全体で県内外にアピールしてこなかった。経営と一線を画した勉強会の設立はしがらみから離れ、売り上げが減少する温麺の生き残り策を真剣に話し合う好機に映る。

 商品名の表記を「温麺」から「うーめん」にするだけで印象は変わる。讃岐うどんみたいなセルフの店で各社が味を競うのもありか。やってないことが多いから、できることはきっとたくさんある。のんびりしてると麺が伸びる。(白石支局・岩崎泰之)

タイトルとURLをコピーしました