白神の天然水を被災地に提供 東京の化粧品会社

 東日本大震災の被災者に良質で安全な水を飲んでもらおうと、化粧品製造販売のアルビオン(東京)が、白神山地で採取した天然水の提供を続けている。秋田県藤里町に昨年、化粧品開発の研究所を設けた縁から、地元で製造された2リットル入りのペットボトル4万本以上を岩手、宮城、福島県の被災者や避難者に配布。最終的には計10万本の贈呈を目標としている。
 提供しているのは藤里町の第三セクター「藤里開発公社」が製造する「白神山水」。ペットボトルのラベルに「安全と一日も早い復旧を心からお祈り申し上げます」とメッセージを添えた。
 7月中旬から、秋田県などを通じて、津波の被災者や福島第1原発事故の避難者らに配った。
 秋田県内に避難している人たちにも、3400本を手渡した。福島県富岡町から秋田市に避難している農業坂本良さん(73)は「長年慣れ親しんだ水を飲めないのがつらかったが、白神山地の水なら安全でおいしいはず」と喜ぶ。
 アルビオンが藤里町に研究所を設けたのは、「化粧品の命」ともいえる良質な水や豊かな自然を、新製品開発に生かすのが狙い。同社の担当者は「被災地支援を検討する中で良質な水の活用を考えた。十分に水を補給して、猛暑を乗り切ってほしい」と話している。

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