秋田県能代市の一般社団法人あきた白神ツーリズムは、インバウンド(訪日客)の新たな旅行形態として注目を集める体験型観光「アドベンチャーツーリズム(AT)」の商品開発に乗り出した。5日から3日間の日程で、初のモニターツアーを能代山本地域4市町で実施。専門家のアドバイスを受けながら、来年1月をめどに商品化を進める。
ATは自然・文化・アクティビティーの要素を組み合わせた商品で、欧米を中心に年々市場規模が拡大している。所得水準の高い層が長期滞在するケースが多いとされ、地域への経済効果が大きいのが特徴だ。
モニターツアーは、観光コンサルタントや海外の旅行サイト関係者ら計6人が参加した。知的好奇心の旺盛な訪日客を想定した内容で、今月5日は八峰町でそば打ち体験とジオパーク巡りを企画した。参加者は砂浜を歩きながら、地質などについて地元ガイドの説明に耳を傾けた。
県北部に位置する能代山本地域には青森、秋田両県にまたがる世界自然遺産の白神山地がある。
ブルガリア出身で観光アドバイザーのアレクサンダー・スタンコフさん(39)=東京在住=は「白神山地周辺には訪日客が求める手つかずの自然と独特の食文化があり、観光のポテンシャルは高い」と指摘する。一方で、地域の歴史や魅力を多言語で紹介するガイドの育成を課題に挙げた。
あきた白神ツーリズムの畠譲(はたゆずる)さん(49)は「ATでは、住民と茶飲み話を楽しむことも特別な体験の一つになる。専門家の意見を参考に、訪日客を引き付けられる観光商品を開発したい」と話した。