百貨店、シニア向け売り場強化 アベノミクス恩恵「団塊消費が始まった」

百貨店大手がシニア世代に向けた売り場作りを強化している。投資運用に積極的で、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の恩恵を受けた人が多い世代。教育費などの“必要経費”が少なく、4月からの消費税率の引き上げ後も消費意欲が落ちにくいと期待されている。
 三越日本橋本店(東京都中央区)は5日、60代以上の女性を対象にした特設売り場を本館7階に設置した。社交ダンスの衣装や豪華客船の船旅で着るドレスなど、シニア層の趣味に特化した洋服やアクセサリーを重点的にそろえた。10日までの期間中、カラーコーディネートの講座なども開催される。
 同店婦人営業部の小田島巧セールスマネジャーは「従来は目立ちたくないと考える人が多かったが、『自分が主役』の消費をする人が増えた」と指摘する。
 博報堂の「新しい大人文化研究所」が昨年実施した調査によると、退職金をもらった60代の男性の約4割が株式投資の経験があると答えるなど、投資運用に積極的な人が多い。団塊世代の退職が始まった2007年以降は、「リーマン・ショック」で景気が低迷し、同研究所の阪本節郎所長は「アベノミクスでようやく団塊消費が始まった」と語る。
 子育てが終わり教育費や食費への支出が少ないシニア層は、消費税増税後も趣味の分野に支出を続けると期待され、「増税後の反動減を防ぐためにも、シニア向けの商品を強化する必要がある」(大手百貨店)との声は強い。
 西武池袋本店は4月に50代以上向けのインテリア売り場を新設する。シニア向けの家具は機能性を重視した商品が多いというが、売り場ではデザイン性も兼ね備えた家具を提案。シニア向けのリノベーション(改修)相談にも応じる。松坂屋上野店も昨年秋に、低層階の中2階をシニア向けの売り場に改装している。

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