仙台市太白区の中学校のプールで7月中旬、女子生徒の水泳の授業中に外部からドローンが飛来していたことが分かった。保護者からは「盗撮されたのではないか」と不安の声が上がるが、ドローンの詳細は分かっていない。市内では初めての事案とみられ、市教委も困惑気味だ。
学校「適切に対応している」
市教委などによると、ドローンが飛んできたのは、飛行に国土交通相の許可が必要な「人口集中地区」にある中学校。7月19日午前10時ごろ、3年女子の水泳の授業中、突然プールから見える位置に現れ、しばらく滞空飛行を続けた。
ドローンに気付いた教諭は盗撮を疑い、生徒らに水の中にとどまるよう指示した。さらに見学中の生徒を校長らへの報告に向かわせ、自らは携帯電話でドローンを撮影したという。
学校は近くの交番に連絡。警察官がプールに着いた時には既にドローンはいなくなっていた。警察は周辺のパトロールを強化した。
保護者の女性によると、今月22日時点で学校側から保護者側に事実を知らされることはなく、経緯や対応の説明もない。女性は「子どもが多い地域なので不安だ。一報はあってもいいと思う」と指摘した。
学校は取材に対し「適切に対応している」と述べるにとどまった。
市教委によると、市内の小中学校では近年、プールを囲うフェンスを布や草木で覆うなど周囲から見えなくする対策を講じているが、空からの盗撮は想定していない。
市教委の担当者は、ドローンがプール真上に来なかったことなどから学校を狙ったとは決めきれず「保護者への通知も含め、次にとるべき対応を判断するのが難しい」と説明。「子どもを危険から守るのは役割だが、学校にできる対応には限界がある」と話した。
水泳教育を専門とする鳴門教育大大学院の松井敦典教授は「教員がマニュアルづくりに時間を費やすのは現実的ではなく、ケース・バイ・ケースで対応するしかない」と教員の対応に一定の理解を示した。
「今後も同様のケースは起こり得る」として、法整備や取り締まり強化の必要性を強調。「水泳は命を守る大切な授業。子どもの安全を確保するためにも、簡易的な屋根の設置などは選択肢の一つだ」と訴える。(佐々木薫子)
◇
この記事は「読者とともに 特別報道室」に寄せられた情報を基に取材しました。