盛夏の白神、息のむ深緑 世界自然遺産登録30年

青森、秋田両県にまたがる白神山地の主峰・白神岳(1235メートル)に登った。群青の日本海を背にたどり着いた頂の向こうには、深緑の山並みが幾重にも続いていた。

 7月29日、青森県深浦町黒崎からの蟶(まて)山コースを登った。登山口への林道は昨年8月の豪雨による崩落で車両通行止め。海抜0メートルの黒崎漁港臨時駐車場から約9キロ先の山頂を目指す。

 ブナの森を縫う道は険しいが明瞭で標識も多い。休憩を繰り返し、頂までは約4時間半かかった。

 白神山地は12月、世界自然遺産登録30年を迎える。山頂付近は世界遺産核心地域の西端。東側は東アジア最大のブナ林が延々と広がる。人工物のない原始の森だ。北東には白神山地最高峰の向白神岳(1250メートル)がくっきりと見えた。

 同日の深浦は強い日差しが照り付け、最高気温は29.8度。登山口の案内図には「日本海から直立しているため厳しい天候の変化に見舞われる白神岳。晴天に恵まれた登山は幸運と言える」とあった。往復約18キロの道中、約20人の登山者とすれ違った。(宮古支局・中島剛)

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