相続税増税1月に控え…金融業界、すでに関連資産「50兆円」争奪戦激化

来月からの相続税増税を前に、金融業界で「年間50兆円」といわれる相続税関連資産の争奪戦が白熱している。
 「財産を“争続”でなく上手に『相続』するために保険商品活用を」。明治安田生命保険は「相続セミナー」を4~11月までに全国で約400回開き相続マネーの取り込みに力を入れている。「自分が相続課税の対象になるかもしれない。不安」との理由で参加する人が多く、新規顧客獲得につながっている。参加人数は前年同期比76.3%増の1万5553人に上ったという。
 信託銀行は、節税策として「教育資金贈与信託」に力を入れている。祖父母から孫への教育資金をまとめて金融機関に預けると、孫1人当たり1500万円まで贈与税が非課税になる制度を活用した「教育資金贈与信託」は、大手信託4行などが提供。信託協会によると、昨春の発売以来、今年10月末までの契約数は計9万4000件、残高は約6335億円に達した。
 一方、証券各社は、非課税枠を得られる生命保険の契約や納税資金を準備するための資産運用につなげる取り組みを進めている。野村証券は今春から、税額や各相続人の取得額の試算を含めたリポートの無料提供を始めた。野村資本市場研究所によると、過去1年間に相続される資産総額は約50兆円。今後、一段の拡大が見込まれるという。

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