宮城県は3日、東日本大震災の教訓、防災と復興の知恵を後世に伝える「復興祈念プロジェクト」の調査報告書を公表した。中核施設として、災害を疑似体験できる「地震・津波防災ミュージアム」の建設を提言した。立地場所には、仙台空港周辺など県内3地域を候補に挙げた。今後、国に実現への協力を求める。
ミュージアムは地震と津波、防災に関する体験型施設を想定する。館内に再現した震災遺構や巨大模型を通し、来場者に大震災の脅威を実感してもらう。子どもたちへの防災教育に活用するスペースを併設することも提案した。
立地場所は津波被災地から選定する。交通の利便性などを考慮し、「仙台空港周辺」「仙台市地下鉄東西線の延長先」「被災沿岸地域」を候補地として示した。
計画実現に向け官民による推進母体の設置を想定しているほか、東北大との連携も模索する。2020年中の完成を目標に、13年にも仙台市中心部に関連情報を発信するスペースを設置。プロジェクト実現の機運醸成を図るとした。
報告書にはこのほか、自治体や企業などの事業継続計画(BCP)策定の専門家を育成する「BCP教育研修センター」、防災関連の新産業を創出する「防災技術フューチャータウン」の創設なども盛り込まれた。
宮城県震災復興・企画部は「計画を進めるには国からの多大な財政支援が必要。将来的な必要性を理解してもらえるよう働き掛けを強めたい」としている。