県内ワカメ生産、震災前超える カキは1割に満たず

東日本大震災で津波被害を受けた宮城県内養殖業のうち、ワカメの今季生産量が震災前を超える水準まで回復したことが県の調査で分かった。一方、カキは震災前の1割に満たないなど、設備の復旧状況と種苗の調達・生育状況で大きな差が出た。
 昨年12月に再開したワカメ養殖は、ことし5月下旬までに約1万3000トンを生産。震災前平均(2006~10年の5年間)の約1万2000トンを上回り、回復率は105.5%に達した。
 カキは昨年10月に始まり、4月上旬までの生産量は約320トン。震災前平均(約4020トン)の8%にとどまった。
 ワカメはカキに比べて設備コストが低く、短期間で収穫できる。カキの養殖いかだは1基当たり約250万円だが、ワカメは10万~20万円。収穫に要する期間もワカメの半年に対し、カキは1年半~2年半。養殖再開を目指した他種の業者が新規参入したことが生産量の増加につながった。
 養殖ギンザケの水揚げは約8000トンで、震災前平均(1万3700トン)の6割に達した。稚魚を育てる養殖池が大和町など内陸部にあり、被災を免れたためという。
 ただ、ギンザケは6月中旬以降、価格が暴落。福島第1原発事故に伴う風評被害と、円高による外国産サケマスの輸入増が背景にあり、1キロ当たり430~440円だったのが、200~250円に下がり、採算割れが続く。
 乾燥施設が軒並み被災した養殖ノリは、震災前(6億2500万枚)の21%にとどまり、1億3200万枚だった。
 県水産業基盤整備課は「価格の暴落やいかだの資材不足といった不安要素はあるが、着実に復旧は進んでいる」とみている。

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