県外郭団体の3公社廃止譲らず 県議会特別委が提言方針

宮城県の外郭団体が多額の累積債務を抱えている問題で、県議会の県出資団体等調査特別委員会が取り上げた6団体の提言方針が17日、まとまった。各団体側は組織の存続を強く求めたが、特別委は「現状維持」を一つも認めなかった。県林業、道路、住宅供給3公社については「廃止」を打ち出す厳しい内容となった。
 各団体の結論、現状と問題点は表の通り。
 県林業公社は、収入の核だった分収造林事業が破たんし経営改善は見込めないと判断。「できるだけ早く清算し、損切りすべきだ」と廃止を示した。森林整備を担う受け皿づくりの必要性も指摘した。
 県道路公社は、建設費償還が残るが「役割は終えた」と分析。管理する仙台南部、仙台松島両道路の国、東日本高速道路への移管を早期に実現し「公社は廃止の方向で進める」と強調した。
 県住宅供給公社も使命は終えたとの意見が相次ぎ、「基本的には廃止」と結論づけた。売れ残った住宅分譲地は住宅メーカー、所在市町村と交渉して早期処分を図るほか、公共住宅用地に転用することも提言した。
 「経営改善しながら事業縮小を図る」と決めたのは県農業公社。農地の利用集積を高める事業の重要性を評価し公社存続は認めたが、畜産や牧場経営などほかの事業を整理し累積赤字を圧縮するよう促した。
 仙台空港鉄道は、一層の利用促進策を期待して「経営改善」を求めた。JRと料金体系の改善、自治体と固定資産税の減免をめぐる交渉も要請した。同じ外郭団体の仙台空港ビルとの統合も検討課題とした。
 県が鉄道施設を買い取り、会社が運行に専念する「上下分離」方式に関しては「提言が実行されることが可否を判断する前提」と指摘した。
 渥美巌委員長は「提言の背景には外郭団体は役割を終えたという県民意識がある。厳しい内容だが、執行部は十分尊重してほしい」と語った。
 村井嘉浩知事は17日の定例記者会見で「提言は非常に重く受け止める」と述べながらも、「全く必要のない団体だったら既に廃止している」との認識も示した。

タイトルとURLをコピーしました