NHKがこのほど発表した「2012年度末における都道府県別の受信料支払率」が興味深い。上位には1位の秋田県をはじめ日本海側の県が並び、最下位は沖縄県で、ブービー賞に大阪府が入った。NHKの受信料は年間約2万4000円(地上波と衛星)。県民気質や懐事情などに違いがあるのか。関係者や専門家に聞いた。
調査は、全国5万6400世帯を対象に行われた。支払率の全国平均は73・4%で、残りの26・6%が未払いか未契約という計算だ。
注目の結果は別表の通り。トップは秋田の95・7%で、2位が島根の91・8%、3位が新潟の91・0%と続き、なぜか8位までは日本海に面した地域が占めた。ワーストは沖縄の44・3%が断然で、46位が大阪の58・0%、45位が東京の61・6%だった。
さっそく、上位3つと下位3つの都道府県の広報・報道担当者に問い合わせてみたが、「NHKと契約者の関係なので答えようがない」(沖縄県)などと、一様に歯切れが悪い。某都府県の担当職員に「あなたは払っていますか?」と聞くと、「答える必要はない」とキレられた。
NHK広報局はこうした地域の傾向について、「支払率の高い都道府県は、単身世帯が少なく、戸建ての世帯が多いため、(受信料契約の)訪問の際に面接しやすい。また、世帯の移動(=転居など)が少なく、契約・収納活動がしやすい。一方、支払率の低い沖縄は本土に復帰した1972年から受信料制度が適用されたことが原因の1つとみられる。大都市圏が低いのは、単身世帯や共同住宅が多いうえに、世帯の移動が多く、(受信料契約が)困難な面もある」と分析した。
ただ、どうして秋田がトップで、沖縄がビリなのかは良く分からない。
そこで県民性研究の第一人者で、「県民性は7392通り!」(エイチアンドアイ)の著書がある、ナンバーワン戦略研究所の矢野新一所長に調査結果を見せると、「県民性が色濃く出ている。一般的に真面目なところほど高く、個人主義的なところほど低い」といい、こう続けた。
「秋田は、乗せられやすく、気前がいい。江戸時代に佐竹氏が治めていたころ、表向きの石高は20万石だったが、実際は80万石ともいわれるほど豊かだった名残もある。最近でも、結婚式の引き出物に布団一式を出すこともあるほどだ。島根は、反対、反発する精神があまりなく、お上への忠誠心が強い。新潟は、雪が多く地震を乗り越えてきた地域のため、我慢強い。東京に出て、介護や看護など辛い仕事でも耐えられる人が多い」
一方、下位地域について、矢野氏は「沖縄は『なんくるないさー(=なんとかなるさ)』の精神で、(受信料が未払いか未契約でも)あまり気にしないのでは。大阪は商人の町なので、お上や“国営放送”への反骨精神が強い。東京は、学生や単身者が多く、NHKも把握しきれないのだろう」と話した。
ランキングを見ながら、あれこれ県民気質を分析・推測してみるのも面白そうだ。
■2012年度NHK受信料支払率
順位 都道府県 支払率
(1) 秋田 95.7
(2) 島根 91.8
(3) 新潟 91.0
(4) 山形 90.0
(4) 鳥取 90.0
(6) 青森 88.8
(7) 富山 88.0
(8) 山口 87.8
(9) 岩手 87.7
(10) 福井 86.0
(11) 岐阜 85.0
(12) 長野 84.8
(13) 広島 83.7
(14) 鹿児島 83.4
(15) 静岡 82.7
(16) 福島 82.3
(17) 栃木 82.1
(18) 群馬 82.0
(18) 石川 82.0
(20) 長崎 81.7
(21) 佐賀 80.0
(22) 和歌山 79.9
(23) 愛媛 79.8
(24) 香川 79.6
(25) 山梨 79.5
(26) 岡山 79.4
(27) 茨城 79.2
(28) 宮崎 79.1
(29) 三重 78.9
(30) 宮城 78.4
(31) 熊本 77.2
(32) 徳島 76.6
(33) 愛知 75.6
(34) 高知 75.1
(35) 滋賀 74.4
(36) 埼玉 74.3
(37) 奈良 73.8
(38) 大分 72.8
(39) 千葉 72.1
(40) 神奈川 71.8
(41) 福岡 70.7
(42) 兵庫 68.5
(43) 京都 68.2
(44) 北海道 64.5
(45) 東京 61.6
(46) 大阪 58.0
(47) 沖縄 44.3
※数字はパーセント。NHK発表の2012年度都道府県別推計世帯支払率をもとに夕刊フジが作成。