宮城県漁協は9日、塩釜市の県漁協塩釜総合支所で県産ホヤの香港輸出に向けた出発式を開いた。県漁協主体の海外輸出の取り組みは初めて。初出荷するのは冷凍蒸しホヤ10キロで、東京まで陸送した後、沖縄経由の空輸で2日後に現地に届く。
海外販売は、農林中央金庫の仲介でことし2月、県漁協と国際宅配便業務を展開するヤマト運輸の商談が成立して実現。水産物の注文をインターネットで受け付け、空輸するシステムを採用する。同金庫は香港でのPR活動に向け、現地語に翻訳した宣伝用リーフレット6000部の費用83万円を助成した。
県産ホヤは2010年に年間約9000トンの生産量があったが、東日本大震災で被災。13年には約4300トンまで回復した。しかし原発事故の影響で、震災前に生産量の7割を消費していた韓国が輸入を規制したため、新たな販路開拓が迫られていた。
県漁協によると、香港にはホヤを食べ慣れている韓国系住民が多く、輸出用として1トン分を確保しているという。今後は乾ノリ、ワカメ、ホタテ、カキ、銀ザケの5品目も輸出する方針。
出発式で県漁協の丹野一雄会長は「来年はホヤの生産量が震災前の8割まで回復する見込み。これからもあらゆるチャンネルを使って販路を広げていきたい」と述べた。