NTTの電話帳「タウンページ」に掲載されているラーメン店の登録数を都道府県別人口の割合で「出店密度」を比較したところ、大阪府は47都道府県の中で最下位だったことが26日、分かった。大阪を含む近畿2府4県はすべて下位にランクインしており、今や“国民食”ともいわれるラーメンと関西の意外な関係が明らかになった形だ。
■京都や和歌山でさえ「うどん香川」に敗北
タウンページに「ラーメン店」として登録されている今年9月末時点の店舗数を、総務省が公表した平成22年3月末現在の住民基本台帳に基づく都道府県別人口で割り、人口10万人当たりの出店数を算出した。
それによると、大阪は人口10万人当たり12.53店。トップの山形県(70.44店)に比べ、約6分の1にとどまり、東京都(31.26店)とも大きな開きがみられた。
また、「ご当地ラーメン」としてブランドが確立している京都(18.22店)や和歌山(17.23店)もそれぞれ40、41位の順でランクイン。滋賀、奈良、兵庫を含めた関西勢はいずれも40位以下に入っており、他地域と比べてラーメン店が極端に少なかった。
一方、うどん店の場合、トップは香川県で、人口10万人当たりの出店数は65.17店。大阪は19.38店で、ラーメンよりも割合が高く、兵庫(16.85店)、京都(26.49店)、奈良(12.61店)もラーメン店を大きく上回った。ちなみに東京は28.68店だった。
関西は他地域と比べ、なぜラーメン店が少ないのか。大阪を中心とする関西エリアは、お好み焼きやたこ焼きといった粉モンを好む傾向があるが、関西のグルメ雑誌「ミーツリージョナル」などで執筆するグルメライター、曽束政昭さんは「だしにこだわる関西では、ラーメンと粉モンは結びつかず、うどん文化が発展した歴史的経緯がある」と分析する。
一方、日本コナモン協会会長で食文化研究家の熊谷真菜さんによれば、「戦後、ラーメンが広まった地域は、これといった食文化がなかった」と指摘。特に大阪では、だしに代表されるうどん文化の方が強く、しかも「食」に関して大阪人が意外なほど保守的なことも色濃く影響していると推測する。
ただ、熊谷さんは「この10年で、大阪でもラーメンを取り巻く状況は一変した。ラーメンの味が格段に上がり、スープだけでなく、麺を味わうような習慣が広まった。自家製麺をしているラーメン店という比較でいえば、東京よりも大阪の方が多いという印象がある」と話す。
関西が「ラーメン王国」として君臨する日は、果たしてやってくるのか…。