眠れる森のコーヒー?脱カフェインの「デカフェ」…機能は眠気覚ましから「癒やし」へ

カフェイン抜きコーヒーというと、味も抜けているイメージがあったが、ここ数年、味や香りをきちんと残した豆の輸入が増え「普通のコーヒーと遜色ない」と 評判。「デカフェ」の名で広がっている。「刺激物は控えたい」「飲み過ぎて心配」…。コーヒー好きの間でも健康意識が高まり、コーヒーに求める機能は「眠 気覚まし」から「癒やし」などへ多様化している。(重松明子、写真も)

勤務先のビルに構える「スターバックス」でメニューにないデカフェを注文すると、「はい。8~10分いただきますが」。感じよく専用豆を抽出してくれ た。トールサイズ345円など通常のドリップコーヒーと同価格で、味もしっかりしている。「複雑な味わいが特徴。約6年前から需要が伸び、認知も高まっ た。妊産婦や健康志向の方に選ばれている」とスターバックスコーヒージャパン広報。

ドリップバッグコーヒー通販の草分け「ブルックス」では、3年前にエスプレッソタイプのデカフェ「眠れる森のコーヒー」(1杯当たり67・5円)を発売。同社では今年、デカフェが前年同期比107%と好調という。

全日本コーヒー協会によると、カフェイン抜き豆の輸入量は平成25年の1347トンからわずか2年後の27年には2446トンにまで急増した。

日本で流通できるカフェイン抜きの加工法は「水出し」「超臨界ガス」の2種類という。「以前一般的だった水出しは風味も抜けてしまったが、炭酸ガスに高 圧をかけてカフェインだけを効率的に抜く後者の技術がヨーロッパで普及し、おいしさが知られるようになってきた」と同協会の西野豊秀専務理事。

日本では過去3回のコーヒーブームが起きているが、「『デカフェ』が第4の波になる」と期待するのはサントリー食品インターナショナルだ。先月末、コン ビニエンスストアや駅売店で、500ミリリットルペットボトル「ボス デカフェブラック」(139円)を発売。カフェインを気にせずゴクゴク飲めるのがウ リという。

ブランドマネージャーの川口洋之さん(34)は「デカフェは欧米では特別なものではなく、ほとんどのホテルやカフェで用意されている」と話す。日本の ペットボトル飲料市場でも麦茶などのカフェインレスが伸長。「ナチュラル志向、ストレスフリー志向から、日本でもデカフェが若い世代を中心に広がるのでは ないか」と意気込む。

発売に先立ち都内で開かれたイベントには、東京都墨田区で自家焙煎コーヒー店を18年前に創業し、昨年デカフェブランド「イノセントコーヒー」を立ち上 げた楡井(にれい)有子さんらが登壇。コーヒーが好きなのに「夜眠れなくなる」「眠りが浅くなる」というジレンマの解消策として、デカフェが求められてい る消費傾向や「アメリカの医師から、リラックスしたいときは、デカフェに切り替えた方がいいとアドバイスされた」などの経験談が語られた。

長時間労働者の多い筆者の職場では、あくびをしながらコーヒー(というよりカフェイン)を飲む姿が日常的だ。デカフェを取材中と伝えたデスクも「そんなの飲むやついるのか?」。流行遅れなのか…、局地的にニーズは低そう!?

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